
この記事はTimee Product Advent Calendar 2025の2日目の記事です。
タイミーでバックエンドエンジニアをしている桑原です。
突然ですが、LeanUXキャンバスというツールをご存知でしょうか?
今年、いくつかの開発をチームで進める中で、LeanUXキャンバスを複数回作成して活用しました。
私自身初めての経験で、チームメンバーも半数が初めてという状態での取り組みでした。
うまくいったことや苦戦したことがあったので、振り返りを行い次に活かすためにこの記事を書こうと思います。
LeanUX・LeanUXキャンバスとは
LeanUXは、書籍「LeanUX」で紹介されている開発手法です。
LeanUXキャンバスは、この手法を実践するためのファシリテーションツールで、著者のウェブサイトでテンプレートが公開されています。
この記事ではLeanUXの詳細は省略しますが、LeanUXキャンバスを順番に埋めるワークを行うことで、LeanUXを進める基盤を作ることができます。
なぜLeanUXキャンバスを使ったのか
今年行った開発でLeanUXキャンバスを使ったのは、次のような課題があったからです。
- 解くべき課題が抽象的で、どのような機能を実装すれば良いのか定まっていない
- 逆に要求されている機能はあるが、なぜそれを実装すると良いのかチームの共通認識が持てていない
実施にあたっては、Miroというホワイトボードツールを使いました。

LeanUXキャンバスで得られたこと
LeanUXキャンバスを行った最大の成果として感じているのは、チームでビジネスプロブレムステートメント(ビジネスが抱える課題を定義した文書)を作成したことです。
以前の開発では、プロダクトオーナーがビジネスプロブレムをまとめた上でプロダクトゴールを作成していました。
しかしLeanUXキャンバスを使った開発では、開発メンバーもビジネスプロブレムの深掘りからワークに参加しました。これにより、チーム全員が「なぜこの開発を行うのか」という共通認識を持つことができました。
その結果、各機能ごとにタスクが分割されたときも、機能の目的をチーム全体が理解しているため、スピーディーに開発を進めることができました。
また、ワークを通してユーザーへの理解を深める機会にもなりました。
タイミーはツーサイドプラットフォームであり、働くワーカーと、ワーカーを募集する事業者の双方にとって価値あるものでなければなりません。
たとえ事業者にとって便利な機能であっても、ワーカーの働く機会を損なう機能は実装できません。
キャンバスを作成したことで、双方の視点で考えるきっかけとなり、公平なプラットフォームであることをより意識して開発を進めることができました。
難しかった点
LeanUXにはビジネスプロブレムを記述する際、「ソリューションを決めつけすぎない」と記載されていますが、これが想像以上に難しかったです。
要求されているソリューションがあると、どうしてもその機能を前提に考えてしまいます。しかし、一度そのソリューションを忘れて「何が問題なのか」を掘り起こすことに集中する必要がありました。
このステップのおかげで、ビルドトラップに陥らず、どんな問題を解決したいのかを最初に強く意識づけることができました。
継続的な活用に向けて
最初はLeanUXキャンバスを作成した後、継続的に活用することができず、チームで振り返りを行う中でもっとうまく活用していきたいという話になりました。
アジャイル開発では一度のリリースで終わりではなく、機能の改善や追加を行っていく必要があります。
実際に機能をリリースした後に見えてくる問題も増えてくるため、一度作ったキャンバスをそのままにせず、継続的に更新していくことが有効だと感じています。
この反省を活かし、現在の開発では機能の初期リリース後も定期的にLeanUXキャンバスを更新し、追加開発の指針として役立てています。
まとめ
LeanUXキャンバスは、開発の方向性を明確にする効果的なツールです。
チームでの実践を通じて得られた主なポイントは以下の通りです。
- 目的の明確化: ビジネスプロブレムステートメントの作成により、なぜその開発を行うのかという共通認識が生まれた
- ツーサイドプラットフォームの公平性: ワーカーと事業者双方にとって価値ある機能開発を意識できた
- 実践的なメリット: ビルドトラップの回避、明確な優先順位付け、迷いの少ない開発進行
開発初期にLeanUXキャンバスの作成に時間をかけることで、長期的にはチームのコミュニケーションが円滑になり、より効果的な開発につながると感じています。
今後もチームでLeanUXの理解を深めていきたいと思います。
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