Timee Product Team Blog

タイミー開発者ブログ

【イベントレポート】プロダクトマネジメント組織のデザイン

イベント概要

2023年8月24日にGaudiy社との共催で「不確実性を乗りこなす強いプロダクトマネジメント組織のデザイン」と題してプロダクトマネジメント組織に関する勉強会を開催しました。

不確実性の高いマーケットに対して、高い成果を出せるチームにしていきたいPdMやPOの方、組織設計からプロダクトのアウトカムを高めたいと考えているEMの方などに特にお勧めの勉強会でしたのでイベントの中から高石さんによる「『わからない』に立ち向かい続け成果を生み出す、実験志向なチームの育み方」の講演レポートをお送りします。

今回のスピーカー

「『わからない』に立ち向かい続け成果を生み出す、実験志向なチームの育み方」

不確実性の高いゴールに付き物の「わからない」

プロダクト開発ではゴールを設定します。タイミーではスクラムを採用しているチームが多いのでプロダクトゴールと表現されます。 RetentionRateの10%向上といった定量的なゴールもあれば、ユーザーストーリーの形式で特定属性のユーザーが○○を実現できるようになるといったゴールもあると思います。近年はこの様に何かしらのゴールに向かってイテレーティブな開発をすることが一般的になってきました。

ここで付き物なのが「わからない」ということです。ゴールが定まってもそこにどうやれば辿り着けるのかは「わからない」に満ちています。PdMやPOの方で「わからない」のフィードバックを貰ったことがない人はあまりいないのではないでしょうか?

でもこの「わからない」ことってネガティブなことなのでしょうか? 人間にとって「わからない」ものは本能的に身構えてしまったり、気持ち悪さを感じることが多いと思います。一方でこの「わからない」気持ちは「わかりたい」という行動への原動力でもあります。「わからない」を放置しておくとモチベーションの低下に繋がってしまいますが、適切に解消が出来ればプロダクトの成果に繋がります。

「わからない」を「わかる」にする力がプロダクトの成果を生む

普段、仕事で強く意識することは少ないですが日常業務の中でも「わからない」ことが沢山あります。

こういった様々な疑問がある中で皆さんは無意識に解消する行動を取っていると思います。インタビューをしてみたり、A/Bテストを実施したり、言語化こそされていなくてもわかる様にするアクションを取っているのではないでしょうか。

その様な行動で「わからない」を一つずつ「わかる」に変えていくことで不確実性の高いゴールに対しても道筋が見えてきます。ゴールの達成方法がわかるようになってくるのでプロダクトの成功にまた一歩近づくことが出来ます。

逆に「わからない」を解決出来ないとBIGBANGリリースに繋がったり、出したは良いけどその後の計測が上手く出来ずに成功したかも失敗したかも判断出来ないといったことが発生します。それだけならまだしも「わからない」を解決出来ず、不確実性を許容出来ないチームになってしまうと簡単なゴールしか設定できなくなってしまうリスクもあります。 基本的にどのプロダクトも新規性が高くまだ世の中に無いものを生み出しているわけですから、文化として「わからない」を許容し、それを解消しつづける組織力をいかに創れるのかが企業の競争力に直結すると思います。

タイミーのケースから見る、チームの実験を支える環境づくり

ユーザビリティテストやA/Bテストなどについてはよくまとまった書籍がたくさんありますし、皆さんも勉強されていることと思います。しかし、座学として知識を習得しても、それらを実際にチームとして行動に移すまでには辿り着けないことの方が多いのではないでしょうか? そこでタイミーでは「チームが実験を行ったり情報収集する、心理・物理のハードルを極限まで取り除く」ということを行っています。

チーム専属のアナリスト

チーム専属になる前までは分析チームに依頼をして、回答を待つ形式でした。この場合、分析チームが忙しい場合だと答えが分かるまで1〜2週間掛かってきます。このようなことになると既にスプリントの1週間を超えてしまいます。依頼側としてもそんなに時間がかかるなら別のやり方を模索しよう、となり依頼することそのものを諦めてしまいがちです。 しかし、スクラムチームに1人専任でプロダクトアナリストが所属する様になったことで物事の大小を問わず、迅速な解決ができる様になり、定量面の仮説検証速度が向上しました。

ユーザーインタビューのハードルを極限まで落とす「Interview as a Service

タイミーではユーザーと話したいと思ったらとにかくすぐに話せるようになっています。 Googleカレンダーにパブリックな仕組みがあってユーザーインタビューの予定を作ると自動で人がアサインされ、議事録が用意されて、インタビューアーのリクルーティングまで完結する仕組みがプロダクトマーケティング部によって運用されています。

このプロセスでは最短で明日、中央値でも2、3日後には望んだセグメントの人とお話が出来ます。 これによりスプリントの中に収まってくるので事前にリサーチして準備をしよう、ではなくスプリントの中で解くといったケースまで出てきたのも面白かったポイントです。 ここまで環境を整えていくと勝手に実験が増えていきます。実験をしよう、しようと思っているうちは中々実験が進みませんが、阻害する要因を全て取り除いていくと皆も実験したい気持ちはそもそもあるので自然と実験が増えます。

実験に特化したフレームワークの採用

『LeanUX』の中で紹介されているLeanUXCanvasを採用しています。

1〜8までのボックスがあるのですが、特に7が面白く「一番はじめに学習しないといけないこと」を明示しています。今回の言葉でいうと「わからないものの中でもっとも早くわかる様にしないといけないこと」ですね。「わからない」ことの存在を事前にフレームワークで宣言をしてその解消の重要性も説いていることがユニークに感じています。

取り組みのとある共通点

どのケースも全く違う取り組みに見えて、共通点があります。

① ゴール達成の過程に生まれる「わからない」を「わかる」にする力をつけること
② チームを取り巻く、組織や環境面からアプローチしていること

「わからない」を爆速で楽にわかるようにするといった観点でチームや組織を組成すれば高い不確実性も許容して実験を重ねて解決できる強いチームが生まれます。 また「わからない」を解決するだけであれば手段はさまざまありますが、組織や環境面からのアプローチはレバレッジが効きます。例えばインタビューの話であれば開発チームに限らず、営業やマーケティングチームが使ったりしていて、全社に波及しています。

まとめ

まとめると今日は不確実性という言葉は広いので「わからない」と置き換えましたが、この「わからない」ことをネガティブに受け取って欲しくないと思っています。「わからない」ことも当然ですが、すぐ「わかる」ことよりも「わからない」に対して挑戦して考えていく方が生産的でプロダクトの組織としてもより成果をあげれるのかなと思います。

実験や仮説検証でも個人だけの頑張りではなくチームとして取り組めることが多くあります。プロダクトのチームは元より実験をしたいので妨げる要因を取り除いていくことで自然と実験する文化が育まれ、不確実性に強いチームになっていきます。タイトルに繋がっていきますが皆で「わからない」に立ち向かい続け成果を生み出す、実験志向なチームを育てていきましょう。

充実のパネルディスカッションは本編動画から!

www.youtube.com

実験文化のある組織をいいなと思った方は是非お話しましょう

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