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タイミー開発者ブログ

学生向けに講演する中で考えた、データサイエンティストの仕事像と未経験就職

こんにちは、タイミーでデータサイエンティストとして働いている小栗です。

先日、群馬大学にご招待いただき、大学生向けにキャリアに関する講演を行いました。

講演や学生との交流を行うにあたり、データサイエンティストの仕事やキャリアについて考える時間が自然と発生しました。

この記事では、学生からいただいた以下の質問をテーマに据えて、私やタイミーの事例を紹介しつつ考えてみます

  • 大企業とベンチャー企業のデータサイエンティストはどう違う?
  • 未経験からデータサイエンティストを目指すには?

大学生向けに講演を行いました

今回、「群馬大学 グローバルフロンティアリーダー(GFL)育成プログラム」の同窓会にご招待いただき、大学生向けに講演を行いました。

私自身もGFL育成プログラムの修了生であることから、今回は講演のご依頼をいただき、発表を行いました。その後、学生との座談会や交流会に参加させていただきました。

当日の様子↓

学生からの印象的な質問

講演では、私のキャリア、データサイエンティストの仕事内容、タイミーに関する紹介、学生へのアドバイスなどを中心にお話ししました。

質疑応答や座談会のなかで、エネルギッシュな学生のみなさんから興味深い質問をたくさんいただきました。

その中でも、データサイエンティストとして働く立場から重要と感じた2つの質問について取り上げて考察してみます。

  • 質問1:大企業とベンチャーの仕事や働き方はどう違いますか?
  • 質問2:未経験からデータサイエンティストになるにはどうしたら良いですか?

大企業とベンチャー企業のデータサイエンティストの違い

大企業とベンチャー企業の違いは、就職を控えた学生にとっては非常に重要でありながらも、イメージが湧きづらいテーマだと思います。

私はこれまで社員として中小規模の事業会社、AIベンチャー、Web系大企業、タイミーと渡り歩きつつ、フリーランスとしても数社で働いてきました。

その経験をもとにして、大企業とベンチャー企業のデータサイエンティストの違いについて考えてみます。

ただ、大企業とベンチャー企業という括りはあまりにも広すぎるため、「Web系の自社開発企業」に限定して、両者のデータサイエンティストの仕事内容や働き方の傾向について述べます

あくまでも独断と偏見に基づく内容なのと傾向の話なので、その点はご了承ください…!

担当業務の幅と成長の方向性に違いが出やすい

両者の違いは「担当業務の幅(≒専門性の深さ)」に大きく現れると個人的には考えています。

大手の自社開発企業では、自社内の事業、技術、データ、業務に関する知識の深さを求められることが多いと感じています。

これは当然の話で、大規模の会社・サービスをワークさせるためには、専門性を明確化して細かくチームを分化する組織デザインを行う場合がほとんどであり、その結果として、個人に求められる担当業務の幅は狭くなり、求められる専門性は深くなります。

あくまで極端な一例ですが「AさんはシステムXの機能Yを支えるロジックZの開発を担当しており、そこで使用するデータや自然言語処理のWという手法の数理と実装に詳しい」みたいな状況が生まれます。

そのような環境では、各メンバーが自身の担当業務のドメイン知識、データ、使用技術に対する深い知識を持つ必要があり、自然と特定のドメインや技術に尖る方向に成長する傾向があるように思います。

また、専門性とチームが細分化されているため、同じ会社内のデータサイエンティストでも部署やチームによって業務内容、使用技術、働き方が大きく異なることがあります。

先ほどは機械学習(ML)プロダクトの開発に携わるデータサイエンティストを例に挙げましたが、他の部署・チームではビジネス施策の効果検証をやっていたり、新規技術のR&Dをやっていたりすることもあり得ます。

一方、自社開発ベンチャー企業では業務の幅が比較的広いことが特徴です。

会社とサービスが発展途上であることや、抱えるメンバー数に限りがあることから、データサイエンティスト以外のロールと連携しつつ、データ分析したりプロダクトや機能の提案・導入をしたりする仕事の割合が高くなり、一人が持つ業務の幅が広くなりやすいです。

もちろん高い専門性を持つに越したことはないのですが、自身の専門性に捉われすぎずに、会社とサービスの成長のために必要な仕事をスピーディに行う必要も出てきます。

以上のことから、大企業のデータサイエンティストと比較すると、ベンチャー企業のデータサイエンティストはジェネラリスト寄りの成長をしていく傾向があると思います。

両者を区別しやすい軸は他にも、保有データのリッチさの違い、データ/ML基盤の充実度の違い、裁量の大きさの違いなど挙げればキリがないのですが、全てを語っているとスペースが足りないのでこの辺にしておきます。

タイミーのデータサイエンティストの仕事内容や働き方は?

ではタイミーのデータサイエンティストはというと、ベンチャーの仕事内容と働き方に非常に近いものがありつつ、大手企業への遷移の初期段階という印象を持っています。

タイミーはデータ基盤ML基盤がかなり整備されてきており、本番稼働・運用フェーズにあるMLプロダクトも複数存在します。

データサイエンティストがデータ分析、MLモデリング、MLパイプライン開発などの開発業務に集中できる環境が整ってきたと感じています。

一方で、データ/MLプロダクトの提案・PoC・導入フェーズなどにおいて他部署・チームと連携することも多く、ベンチャーらしく広く裁量を持って仕事に取り組むことができます。

未経験からデータサイエンティストを目指す際に意識すること

2つ目の質問は、情報系の専攻ではないがデータサイエンティストに興味がある学生の方からいただきました。

実は私も大学院までは化学を専攻しており、20代中盤になってデータサイエンスやプログラミングに初めて触れて、そこからデータサイエンティストになりました。

その経験をもとに、キャリア初期(大学卒業 ~ 20代あたり)において未経験からデータサイエンティストを目指す場合に意識したいことを考えてみます。

データサイエンティストを目指す意義と発揮できる価値を熟考する

当然の話として、未経験からデータサイエンティストを目指す場合、機械学習や統計学、それに類するバックグラウンドを持つ人と労働市場では競合することになりますし、就職後も彼らと共に仕事をすることになります。

分野自体がホットなために、機械学習やデータサイエンスを学生時代から専門とする人が増えており、競争は激化しやすいと思われます。加えて、生成AIの興隆もあり、数年先の市場環境すら見通せません。

激しい環境の中、これまで築いた専門性を半ば捨て去ってデータサイエンティストを目指す意義と、自身がデータサイエンティストとして発揮できる/したい価値を、やはり前もって熟考すべきだと思います(私は正直そこまで深く考えられていなかった)。

また、現在の専門性と掛け合わせたキャリアを歩むことが出来ると人的/金融資本という意味では有利なので、そういった道も模索すると良いと思います。

自分自身で熟考した結果、「別に問題ない」「人生にとってネガティブな影響も受け容れて進みたい」ということであれば、それは素晴らしい選択になると私は信じています。

想像以上にソフトスキルが重要

私がデータサイエンティストになる前となった後で大きな認知ギャップを感じたのは、ソフトスキルの重要さでした。

機械学習・統計学の理解、ソフトウェア開発に関する技術力をはじめとしたハードスキルが重要なのは大前提として、その価値を引き出せるかどうかはソフトスキルに依存します

例えば、分析結果をビジネス上の意思決定に活かすには、相手(データの専門家とは限らない)の立場に立って分析の意義や示唆を明確に示し、丁寧に説明する必要があります。

ソフトウェア開発の場合でも、チームで仕事をするケースがほとんどであり、コミュニケーション力に長けていれば物事がスムーズに進みます。

…自分で書いていて耳が痛い内容になってきました。

ソフトスキルが低いと話にならない職業ではないものの、高いハードスキルに立脚しつつもソフトスキルが高い人、ソフトスキルを高める姿勢がある人が活躍しやすい職業だと思っています。

タイミーのデータサイエンティストが有するスキル・経験は?

他に重要なトピックとして、機械学習・統計学・プログラミングをはじめとしたハードスキルの習得がありますが、このトピックはすでに界隈内で議論し尽くされた感があるので、ここでは深く言及しません。

その代わりとして、タイミーに所属するデータサイエンティストが有するハード系のスキル・経験について簡単にご紹介します。

  • データ分析、MLモデリング
  • 効果検証、因果推論
  • ML周りのソフトウェアエンジニアリング
    • MLパイプライン構築、MLシステム設計・開発、クラウドにおける開発、Gitを用いた開発、など
    • 使用言語はPythonとSQL(全員不自由なく書ける)

もちろん上記すべてのスキルを全員が高いレベルで保有するわけではないですが、それぞれのwill/canを生かして相乗効果を生み出しながら働いています

おわりに

ここまで、大学生への講演を通して感じた、データサイエンティストの仕事内容や未経験就職について、私やタイミーの事例を交えながら紹介しました。

エネルギッシュな学生のみなさんとの交流・議論を通して、自分やデータサイエンティストのキャリア、そしてタイミーについて客観的にみつめ直すことができました。

大学での講演機会をいただいたのは初めてでしたが、とても楽しく有意義な時間になりました。

貴重な機会を与えてくださった群馬大学GFLの学生・スタッフのみなさまに、深く感謝申し上げます。

今回の記事の内容が、読者のみなさまのお役に立てば幸いです。

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