はじめに
こんにちは。タイミーでAndroidエンジニアをしているHunachi(ふなち)です。
2025年6月25日から26日に開催されたdroidcon NYC 2025に参加してきました。このブログでは、droidcon NYCの雰囲気と、特に印象に残ったセッションについてご紹介します!
droidcon NYC 2025の雰囲気
参加者は700名以上、セッションは4つのステージで80以上と、DroidKaigiとほぼ同規模か少し小さいくらいのイベントでした。
主にアメリカで働くAndroidエンジニアが集まっており、私が話した方々はニューヨーク近郊だけでなく、アメリカ各地から数時間かけて来ている方がほとんどでした。弊社社員を除く日本からの参加者には出会いませんでした。
また、同じ会場でFlutterconも開催されており、Flutterエンジニアとの交流も楽しめました。
興味のあるセッションを多数聞けたのはもちろんのこと、海外のエンジニアの方々と交流できたのは貴重な経験でした。
英語をスラスラと喋れる訳ではないのですが、他の参加者の方々がとても優しく接してくださり、楽しい時間を過ごせました。Googleの社員の方やスピーカーの方に直接質問できる機会もあり、非常に有意義でした。
Day2には、前日に仲良くなった人たちと一緒にセッションを聞いたり、おしゃべりしたりできました。ランチの時間も他の参加者と交流することができ、自分から喋りかけに行けば他の参加者と楽しくコミュニケーションが取れる雰囲気でした 🤝
聞いてきたセッションの一部を紹介します!
Panel: The Future of Dependency Injection in Modern Android
このパネルディスカッションでは、現代のAndroid開発におけるDI(依存性注入)の未来について議論されていました。
- KMP(Kotlin Multiplatform)では「Metro」というDIフレームワークがよく使われる。
- DIの原則自体は複雑ではない。我々は問題解決に集中すべきで、DIのことを気にするのは良くない。
- サービスロケーターは避けるべきで、依存関係はコンパイル時に解決すべき。
- DIフレームワークは早めに導入を決定することが推奨で、移行にはコストがかかるため注意が必要。
CompositionLocal
はグローバル変数のように使われることがあり、コンパイル時にエラーにならないためリスクがある。
など、AndroidやKMPの最前線を走っている方々からDIに関するお話を聞くことができて、とても勉強になりました。
Tackling Memory Issues on the Instagram Android App at Scale
InstagramのAndroidアプリにおける大規模なメモリ問題への対処法についてのセッションでした。
アプリでユーザーがコンテンツを編集中に落とさないための工夫や、メモリが足りずにアプリがクラッシュする時の調査方法(HPROFファイルを使った調査)の説明がありました。
特に印象的だったのは、メモリについて詳しくなりたいなら「Runtime.getRuntime()」や「/proc/meminfo」から取得できるデータなど見ると良いという細かなアドバイスがあったことです。大半の普通のAndroidエンジニアは一生触れないだろう内容ですが、前職でメモリと向き合ったことのある私にとってはとても興味が湧く内容でした。
The Future of Android...And How to Prepare For It
Androidの未来と、それに向けてどのように準備すべきかについてのパネルディスカッションでした。
- AIの進化により、スクリプトだけで開発できる時代が来ており、将来的にはコードの70%がAIによって生成されるだろう。
- エンジニアはより複雑な問題を解決するために働くようになってきている。
- AIによるポジションの削減などもありますが、逆にAIのおかげで私たちもあらゆる分野で働けるようになるため、ポジティブな側面も多くある。
- このようなカンファレンスでいろんな人と問題など色々なことについて話す等、エンジニア同士の交流も重要になってくる。
- AIにより学ぶことも前より容易になっている。
- 一般的な知識(いろんな言語や分野)を身につけることが大切。
といった白熱したトークが行われていました。
弊社でもAIの活用はとても推奨されているのでAIを使った開発が日常になりつつはあるものの、このパネルディスカッションを聞いて、私ももっとAIを活用して今までよりも多くの分野で、より多くの作業量をこなすことができる人材になりたいなと思いました。
Career Office Hours with Stacy Devino
Stacy Devino氏によるキャリアに関するオフィスアワーにも行きました。
キャリアを考える上で大切だと言われていたことのうち印象に残ったものは、
- 経済的に安心できる状況を作る
- AIでカバーできない範囲などユニークなスキルを持つ
- 自分が何を楽しんで、何が得意かを認識する
- ビジネスプロセスや効率化について学習する
- レイオフの危機を感じたら、事前に準備する
の5つです。
レイオフが日本よりも身近なアメリカだからこその話も聞けてとても為になりました。
Server Driven UIs: the future of cross-platform rendering architectures
サーバー駆動型UI(SDUI)についてのセッションでした。
SDUIはUIのデータをサーバー側に持たせて、動的なUI変更を可能にする仕組みのことなのですが、個人的にとても親しみのある内容でした。
タイミーでも取り入れられると嬉しいなと思いました。
Google社員の方や、スピーカーの方に質問してきた
出発前に社内のAndroidメンバーに聞いてきて欲しいことがあるか意見を聞きました。
そこで出てきた意見や個人的に気になっていたことをGoogle社員の方や、登壇者の方に質問してきました。
Googleの方に、"Ask Android" Office Hours の時間を使って質問をしました。
「Google的に、Adaptive layoutsを推してると思うけど、時間がないデザイナーが対応したいと思える情報ある?」
「Android用のMCPってどんなのがある?」
等の質問をしました。
Googleの方と2対1(Google社員の方2人、私1人)という贅沢な環境でたっぷり時間を使って質問することができました。また、Google I/Oの動画に出ていた方も数人おり、直接お話しできてとてもワクワクしました。Google社員の方がたくさんいるニューヨークだからこんな状況で質問できたと思うので、droidcon NYCに来た甲斐があったと思える瞬間の一つでした。
また、フリーの時間で、キャリアのセッションをしていたStacyさんという女性の方にキャリアと育児についての質問もさせていただきました。
自分にはまだ子供がいませんが、将来的に必要になるかもしれないアドバイスを多くもらえました。特に「子供を産んだり育てることは想像以上に大変だから金銭面でも時間の面でも余裕を持っておくことがオススメだよ。」「子供との時間、仕事両方大切だけど、その時々で優先順位を決めて行動しなさい。同時に両方を全力でするのは厳しいよ。」という言葉がとても心に響きました。
感想
初めての海外カンファレンスですごく緊張していたのですが、とっても楽しかったです!
私はまだ英語に苦手意識があったのですが、各自見たいセッションも異なるし、弊社メンバーで固まらずに別行動をしよう!となり、Day1の最初以外の大半の時間を別行動していました。このチャレンジのおかげで自分の力だけでも海外の方と仲良くなれるという自信をつけることができてとても嬉しかったです。
また、今回のdroidconはAIの話が多く、AIの影響による良い面や悪い面について考える良い機会にもなりました。上記で紹介していないのですが、Stacyさんのセッションで「AIの出現はComposeの出現と似たようなもので、怖がる必要はない。我々は変化に対応できる。」という話を聞き、ポジティブな意味でもっとAIと仲良くなれるように頑張ろうと思えました。
今回のカンファレンスで学んだことをこれからのキャリアや社内での振る舞いに活かしていきたいです。
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おまけ
行くまでの準備
英語の勉強をしました。Native Campで会話をする練習をしたり、Duolingoで文法や単語を勉強しました。また、英語のドラマを毎日見て、英語に親しみを覚えるようにしました。
今年もGoogle I/Oの動画でモバイルに関連するものはほぼ全部見ました。去年より英語の勉強をした甲斐があり英語での視聴でもほぼ問題がなかったのでスラスラ見ることができました。
droidcon NYC 2025の自分用のアプリも作りました。作成時にまだ公式アプリがなかったためです。後から出てきたので用無しになりましたが、AIがどれくらい使いやすいのか知れる良い機会になりました。細かいエラーなどは手動で修正しつつ、大部分のコードをAIに書かせるというスタイルだと爆速でアプリが作れることがわかりました。この経験のおかげでdroidconの中で行われていたAIの議論にもよりついて行くことができた気がします!
I'll be attending droidcon NYC 2025😻
— 🍥ふなち🍥 (@_hunachi) June 21, 2025
To save sessions I want to attend, I developed an Android application for personal use.
While it's not a polished app, I used Cursor so it only took me about four hours to create.
AI is very powerful 🙀 pic.twitter.com/K2QbyoAkV7
観光
カンファレンス以外では、ニューヨーク市内で観光も楽しみました。
サブウェイなどのローカルな飲食店や、ローカルなスーパーも色々と行きました。
チャンククッキーが好きなので、色々なお店でクッキーを買って食べたりもしました。
どのお店の店員さんもわからないことも教えてくれたりととても優しく過ごしやすかったです。乗る電車がわからなくなった時も、駅員さんと他の乗客の方々がめちゃくちゃ丁寧に道を教えてくれて感動しました😭
また機会があればニューヨークにもdroidconにも行きたいです!

