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ObservabilityCON on the Road Tokyo 2025に参加してきました!

こんにちは! タイミーでPlatform Engineerをしている @MoneyForest です。

ObservabilityCON on the Road Tokyo 2025に参加してきました。

参加した感想や気づきなどをお届けします。

はじめに

普段は Datadog をメインに利用している弊社ですが、他のツールなどを知ることで深まる知見もあると考え、先日開催された Grafana Labs 主催の「ObservabilityCON on the Road Tokyo」に参加してきました。本記事では、Grafana エコシステムの印象や、イベントで得られた気づきについて共有したいと思います。

イベントアーカイブ

日本語吹替版の全セッションのアーカイブが以下のリンクで配信されています。

Webinars and videos | Grafana Labs

ObservabilityCON on the Road 基調講演

ObservabilityCON on the Road 基調講演 | Grafana Labs

基調講演で特に気になった点は「OpenTelemetry Datadog Receiver」でした。 Grafana エコシステムの強みは、オープンソースをベースにしている点です。ベンダーロックインを避けつつ、必要に応じてマネージドサービスであるGrafana Cloudを利用するという手法を取ることができます。

そのため、GrafanaはOpenTelemetryを推しており、その流れからOpenTelemetryエコシステムのコントリビュートと競合製品から自社製品への誘導を同時に行う一手だなと思い、驚きました。具体的には、このレシーバーによりDatadogのメトリクス形式をOpenTelemetryのネイティブ形式(OTLP)に変換できるため、既存のDatadog Agentをそのまま使いながら、データをGrafana CloudやPrometheusなどに送信できるようになります。

また、OpenTelemetry Datadog receiver のコードの公開をGrafanaが発表しているという点についても意外でした。てっきりこういった内容はDatadog社が発表すると思っていたのですが、競合が発表を行っているという点も興味深いです。

Grafana Labsの「ビッグテント」思想の「データがどこにあっても、どのようなツールを使っていても、アクセスできるようにすべき」という考え方は、特にマルチクラウド環境やハイブリッド環境が当たり前になっている現在、非常に共感できるポイントでした。

弊社でもオブザーバビリティにかけるコストはサービスの成長に伴い増大しており、ロックインは主にコスト面でリスクになりえると考えています。OpenTelemetryベースの実装にすることで、製品、OSSの乗り換えや、セルフホストなどコスト最適化で幅広い手段を取ることができるようになると思います。

計測とデータ取り込みを一瞬で実現:Grafana Alloy、Grafana Beyla、OpenTelemetryのデモ

計測とデータ取り込みを一瞬で実現:Grafana Alloy、Grafana Beyla、OpenTelemetryのデモ | Grafana Labs

こちらのセッションではGrafana AlloyというOpenTelemetryの100%互換のコレクターや、Grafana Beylaという計装ライブラリの紹介がありました。

Grafana Beylaは、eBPFベースのアプリケーション自動計測ツールで、実行中のサービスのメトリクスやトレースを自動的に取得できます。Go言語でOpenTelemetry SDKで計装する場合、通常はコード上で明示的にトレーサーの開始やスパンを切る必要があると思っていたのですが、Beylaではそれらのコードレベルでのインストルメンテーションなしに観測データを収集できることに驚きました。

これは、OpenTelemetryのドキュメントにある「Zero-code Instrumentation」というコンセプトに沿ったものです。

このアプローチは、アプリケーションを修正せずに計装できるというメリットがあります。

DatadogでもRubyはRailsフレームワークに基づいた自動計装機能があり、Goでも DataDog/orchestrion などのOSSが発表されています。

この辺りは言語やライブラリごとに自動計装のやり方が異なる点があるため、どこかで実装のPoCを行ってみたいなと思いました。

合成テスト、負荷テスト、実ユーザーモニタリングでエンドユーザー体験を把握する方法

合成テスト、負荷テスト、実ユーザーモニタリングでエンドユーザー体験を把握する方法 | Grafana Labs

k6はGrafanaが提供するJavaScriptでテストシナリオなどを記述できるGo製のツールです。

自分も負荷テストツールとしてはよく使っていて、使いやすいツールくらいの認識だったのですが、あらためて本セッションを見ることでk6のメンテナがGrafanaであることのメリットを感じることができました。

このツールが生成するレポートを、Grafana Cloudおよび周辺のエコシステムと組み合わせることでよりリッチなインサイトを得られることがセッションのデモを通じてわかりました。例えば、負荷テスト時のバックエンドの挙動をTraceやProfileと組み合わせて分析することで、ボトルネックの特定が容易になります。

Core Web Vitalの測定やSynthetics Test、ユーザージャーニーベースの観測はどのオブザーバビリティツールでもできると思いますが、メジャーな負荷テストツールを持っているのはGrafanaの強みだと思いました。

まとめ

オブザーバビリティの分野はOpenTelemetryというエコシステムを中心に日々変化していっているため、定期的にイベントに参加して体系的なキャッチアップを行う必要があると思いました。

Grafanaはオープンソースをベースにしているため、ベンダーにとどまらない汎用的な知識を各セッションから学ぶことができました。弊社でも引き続きオブザーバビリティに関する情報キャッチアップを行っていきます。