Timee Product Team Blog

タイミー開発者ブログ

Google Cloud Next ‘25 in Las Vegas に参加してきました!

こんにちは!株式会社タイミーの貝出です。データサイエンティストとして働いており、主にカスタマーサポートの業務改善に向けたPoCやシステム開発など行っております。

先日、2025年4月9日~11日にラスベガスで開催された「Google Cloud Next '25」に、Data Science Group の小関と貝出で現地参加してきました! 業務でも Gemini を利用することが多く、今回はAgent関連の発表も多いとのことで大変楽しみにしていました!

今回のブログでは、現地の様子や注目した発表・セッション、そしてイベント全体の雰囲気について共有させていただきます。

イベント概要

  • イベント名: Google Cloud Next '25
  • 開催地: アメリカ合衆国、ラスベガス
  • 開催期間: 2025年4月9日~11日
  • 参加目的: Google Cloudの最新技術(特にLLMやAgentまわり)のキャッチアップ、事例調査、ネットワーキング

会場はMandalay Bay Convention Centerで、世界中から多くの参加者が集まり、活気に満ち溢れていました。

Google Cloud Next '25 Expo会場の入口

事前準備

アメリカへの海外出張が決まり、国内出張とは異なる手続きや準備が必要となりました。私自身パスポートの有効期限が切れていたため、まずはパスポートの申請から始めることに。併せて、渡米に必要なESTAの申請も行いました。

タイミーでは、海外出張の手続きがNotionで体系的にまとめられており、非常に助かりました。航空券やホテルの手配も社内のシステムを通じてスムーズに申請できました。特にフライト時間は税関検査の所要時間も考慮されているようで、大変ありがたかったです。

ホテル選びに関しては、Data Science Group の菊地さんからおすすめのホテル情報を教えていただき、効率的に検討を進めることができました。大変感謝しています。

今回の海外出張準備にあたり、参考になったウェブサイトを以下に記載します。

www.hyperbilling.jp

iret.media

渡航スケジュール

日本からの参加ということで、参考までに今回の私の渡航スケジュールをご紹介します。時差調整も含め、余裕を持った日程を組みました。

日付 (2025年) 時間 (現地時間) 移動/内容
4月8日 09:20 サンフランシスコ国際空港 着
13:00 サンフランシスコ国際空港 発
15:00 ハリーリード国際空港 着
15:50 ホテルチェックイン
4月9日 (Day 1) 終日 Google Cloud Next '25 参加 (セッション、Expo等)
4月10日 (Day 2) 終日 Google Cloud Next '25 参加 (セッション、Expo等)
4月11日 (Day 3) 終日 Google Cloud Next '25 参加 (セッション、Expo等)
4月12日 3:30 ホテルチェックアウト
6:00 ハリーリード国際空港 発
8:00 サンフランシスコ国際空港 着
13:30 サンフランシスコ国際空港 発
4月13日 14:00(日本時間) 羽田空港 着

初日ハリーリード空港に到着すると、Lyftを利用してホテルへ向かいました。今までUber/Lyftを利用したことはなく、本当に利用できるかドキドキしましたが、無事ホテルまで到着できました。アプリの仕様もわかりやすく、ドライバーも親切だったため、満足度はとても高かったです!マッチングプラットフォームを運営しているタイミーとしても大変参考になりました。

Lyftを利用し、目的のホテルへ

Google Cloud Next '25

Keynote

Day 1の朝にOpening Keynote、Day 2の昼にDeveloper Keynoteがあり、どちらも大盛況でした。特にOpening Keynoteは会場が満席で入れず、モニターのある別室で視聴することに。会場の熱気とは対照的に、別室はやや落ち着いた雰囲気でした。

どちらのKeynoteでもAgentに関するサービスが大きく取り上げられ、特にAgent2AgentADKAgentSpaceが今回の目玉として紹介されていました。概要は以下です。

  • Agent2Agent
    • Agent2Agent(A2A)は、2025年4月9日にGoogleから発表されたオープンプロトコルで、異なるベンダーやフレームワークで構築されたAIエージェント同士が安全に情報を交換し、企業全体のアプリケーションやプラットフォーム上で連携できる相互運用性を提供する。
  • ADK
    • Agent Development Kit(ADK)とは、GeminiやGoogleのAIツールと統合されたオープンソースのAIエージェント開発フレームワークである。ワークフローエージェント、マルチエージェントシステム、関数ツールやカスタムツールの組み込み、デプロイ(Cloud Run/DockerやVertex AI Agent Engine)など、柔軟かつモジュール式の構造でエージェントの設計・実装・評価をサポートする。
  • AgentSpace
    • Google Agentspaceは、社内の主要アプリケーション(Confluence、Google Drive、Jira、SharePointなど)へのセキュアな接続、Google品質のマルチモーダル検索、Geminiを活用したレポート生成やオートメーション機能を備えたエンタープライズ向けエージェントハブである。直感的なエージェントデザイナーでのカスタムエージェント作成や、パートナー提供エージェントの統合も可能で、組織全体で安全かつコンプライアンス遵守のもとAIエージェントを展開できる。

Opening Keynoteの朝の光景。人がめちゃ多い

Developer Keynote は会場に入れた

Expo & Startup Hub

Expo会場は大盛況で、Anthropic のブースやNeo4jのブースに訪問しました。すっかり写真を撮るのを忘れてしまい、記録はありませんが…。

個人的には、Anthropic のブースが印象に残っています。Claude 3.7 Sonnet が Agent として初代ポケモンの攻略に挑戦した実験に関するポスターが紹介されていました(参考: https://www.anthropic.com/research/visible-extended-thinking)。プロンプトには、AgentがActionするためのツールの定義やシステムプロンプト、ポケモンに関する知識ベース、Action履歴などが盛り込まれており、非常に長い(Long Contextな)内容となっていました。個人的に、このようなプロンプトをどのように制御し、どう最適化したかに興味があり質問したところ「色々なTipsはあるものの、タスクやモデルによって変わるため、結局は実験と分析のイテレーションを繰り返すことが重要だ」というお話をいただきました。

また、Expo会場の一角にはStartup Hubがありました。そこで朝食を取っていると、他の会社の方々とコミュニケーションを取ることができました。セキュリティの会社や自動テストツールを開発している会社の方と会話し、何にGoogle Cloudを使っているか、なぜGoogle Cloud Nextに来たのか、といった話を聞くことができました。皆さん、やはりGeminiやAgentをどのように自社製品に活かしていくかについて興味をお持ちで、生成AIへの関心の高さを感じました。

Startup Hub での朝食

Next’25 Party

イベントはMandalay Bayから徒歩10分程度の場所にあるAllegiant Stadiumで開催されました。ガンガンのクラブミュージックがかかる場内のテンションは最高潮でしたが、自分はスタジアムの端でビールを飲みながら、少し離れて眺めていました。

隣に座っていたシンガポールのデータ分析企業に勤務する方が声をかけてくださり、Looker と Tableau の違いやAgentSpaceについて話すことができました。「Looker は使いやすいけど可視化に少し弱点があるので、そのあたりはTableauがいいよ」とのことでした。

Allegiant Stadiumの外観

Next’25 Partyの様子

気になった発表

How good is your AI? Evaluate it at every stage.

概要

Google Cloud AIが提供する GenAI Eval Service は、多様なモデル(Proprietary、Open、Google、Customized)に対応可能なAIモデル評価サービスです。Pairwise/Pointwise といった評価モードや、Computation(計算ベース)/Autorater(モデルベース)といった評価方法を選択できます。

Google Cloudユーザーからの要望に基づき、本サービスを活用した以下のアプローチに関する紹介とデモが行われました。

  1. GenAIバッチ評価 (Autorater): Autorater(モデルベース評価)をバッチ処理で実行し、評価プロセスを効率的にスケールさせる手法。
  2. Autoraterの性能評価・カスタマイズ: ベンチマークデータに対する人間の評価結果を用いて、Autorater自体の評価精度を測定・改善するアプローチ。評価結果を利用し、プロンプトの改善、設定調整、追加データによるチューニングを通じて、Autoraterの信頼性向上が可能になります。
  3. Rubrics-driven評価: 多様なデータセットや複雑なユースケースに適した評価手法。特に、評価基準(ルーブリック)の自動生成機能により、迅速かつカスタマイズ性の高い評価が可能になります。
  4. Agentの評価: 応答の質、推論・計画能力、ツール利用など、さまざまな評価対象が存在します。推論・計画能力や、記憶、Self-Reflection の評価はまだ研究中とのことでした。

感想

Google CloudにGenAI Eval Serviceという評価に特化したサービスが存在することを今回初めて知りました。紹介された機能が現状で利用可能かはわかりませんが、今後のPoCフェーズで検証したいと考えています。特に、評価基準(ルーブリック)を自動生成できる点は、効率化の観点から個人的に大きな可能性を感じます。

また、プレゼンテーションの冒頭では、効果的な評価のためのステップとして「(1)具体的な評価目標の設定、(2)ユースケースに合ったデータセットの選択 、(3)適切な評価方法の選択、(4)評価結果の分析」の重要性が強調されていました。GenAI Eval Serviceを利用することで、これらのステップを体系的かつ効率的に進めることが可能になると感じました。

Long context is all you need

概要

本発表では、Google DeepMindのResearch ScientistであるNikolay Savinov氏が、GeminiのLong Contextに関する成果と応用先を紹介しました。

LLMはパラメータ記憶だけでは最新情報やプライベート情報に関して正確な出力ができないため、プロンプトに過去のやり取りや提供されたPDFなどのデータ、背景情報を含めたインコンテキスト記憶の活用が重要です。

最新モデルである Gemini 2.5 Pro は、Long Contextでの性能を評価する各種ベンチマークデータセットにおいてo3‑mini‑high、GPT‑4.5、DeepSeek R1、Claude Sonnet 3.7などと比較して高い性能を示していました。また、コンテキストウィンドウが1Mトークン(将来的には2Mトークン)に拡大していることも紹介されました。2Mトークンとは、約10万行のコードを扱える規模とのことです。

Long Contextの応用例としては、動画・音声分析(情報抽出や要約)、大規模文書分析(比較やQA)、コード理解(リポジトリ把握や機能特定)、エージェント(過去行動や文脈に基づく動作)、少数ショットのインコンテキスト学習などが挙げられていました。

さらに、実利用のTipsとしてコンテキストキャッシュによるコスト削減、RAGとの組み合わせによる知識活用、無関係コンテキストの排除、クエリ長とレイテンシの考慮、Proモデルやプロンプト工夫の重要性が示され、Long ContextがLLMの可能性を大きく広げるとの結論で締めくくられました。

質疑応答では、コンテキストキャッシュの最適化方法について「プロンプト冒頭にできるだけ固定部分を置くのがいいと思うが、実際にはさまざまなバリエーションを検証してほしい」とのアドバイスがあり、またlost in the middleの緩和度合いについては「ベンチマーク性能が向上しており、他モデルより緩和されている」との回答がありました。

感想

業務においても、プロンプトに多くの情報を詰め込むアプローチを検討しているため、Long Contextの取り組みは大変ありがたいです。また、LLMによってはシステム指示の記述位置によってモデルが指示を無視したり従ったりする傾向があるため、Geminiの最新モデルを積極的に利用したいと思います。さらに「Long Contextが可能になればRAGは不要か?」という問いには、レイテンシや無関係コンテキストの問題から使い分けが必要だという説明も非常に納得できました。

おわりに

4月8日に日本を発ち、13日に帰国するまでの約5日間、短い期間ではありましたが、刺激的な新サービスの発表や多くの方々との貴重な出会いに恵まれ、あっという間の充実した時間でした。

現地では、Google Cloud Japanの皆様に大変手厚くサポートいただき、慣れない土地でも安心して過ごせました。他の日本企業の方々との交流の機会を設けていただいたり、興味深いデモをご紹介いただいたりと、細やかなお心遣いに深く感謝しております。さらに最終日には、イベント全体のまとめセッション「Next ’25 Highlight」を開催いただき、見逃してしまったセッションの情報もしっかりとキャッチアップすることができました。皆様の温かいサポートに、心より感謝申し上げます。

今回の素晴らしい経験から、次回もぜひ参加したいと強く感じております。また、特に社内のデータ関連チームにとって非常に有益なカンファレンスでしたので、その価値を社内で広く共有していきたいと考えております。

「ウェルカム・トゥ・ラスベガス」の看板

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