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タイミー開発者ブログ

「問い」を「分析」に変える思考プロセス

こんにちは! タイミーでデータアナリストをしているtakahideです。

突然ですが、「この事業を成功させるにはどうすれば?」といった、ふんわりと大きなテーマを渡されて、「さて、どこから手をつけようか...」 と悩んだ経験はありませんか?

タイミーでも、今後より会社の重要課題に関わる分析プロジェクトが増える中で、こうした上流の課題を見つけ、精度の高い仮説を立てる力、いわゆる「課題発見・仮説思考力」の重要性が高まると考えています。



本記事では、「仮説向上プロジェクト」での取り組みを元に、複雑な課題を構造化し、具体的なアクションに繋げるための思考整理術をご紹介します。
この記事が、同じように課題発見に悩む方々の助けに少しでもなれば幸いです。

「知っている」と「できる」の壁

これまでもデータアナリティクス部では、事業部のメンバー向けに仮説構築の勉強会を開いてきました。1回目は仮説のタネから仮説の木を育てる「仮説構築」の全体像を、2回目では論理を整理するための「便利な道具 (フレームワーク)」について行いました。



おかげで、チーム内で「仮説」という言葉の目線は一定揃ったのかな、と思っています。一方、知識として「知っている」ことと、実践で「使いこなせる」ことの間には、思った以上に大きな隔たりがありました(当たり前ではありますが、、)。

思考のプロセスを可視化する「仮説向上プロジェクト」

そこで、この壁を乗り越えるために、実験的な「仮説向上プロジェクト」を立ち上げました。
このプロジェクトの目的は、とてもシンプルです。

「問いを立てる力を引き上げること」。

分析の精度は、最初の「問い」の質でそのほとんどが決まってしまいます。MECE (モレなく、ダブりなく) やロジックツリーといったフレームワークといった調理器具を使う前に、「そもそもどの食材をどう料理するべきか?」 という「見立てる力 (素材の目利き)」を鍛えることにフォーカスしてみました。

具体的には、会社としての重要テーマを題材に、メンバーと1on1形式でディスカッションを重ねました。この抽象的なお題を、どう整理し、具体的な分析テーマに落とし込んでいくか。その思考プロセスを繰り返しました。

思考整理の「3つのステップ」

この実験的な取り組みを数回繰り返す中で、手応えのある思考整理のプロセスが見えてきました。

1. 「問い」から「5W1H」への整理

すべては、一つの大きな「問い」から始まります。特に会社の重要課題につながるような抽象的な問いの場合、そのままでは、どこから手をつければ良いか判断がしづらいです。
そこで、まずは問いを具体的な要素に分解することで、その後のプロセスがスムーズに進むことが分かりました。

特に、5W1Hは問いを具体化する初期段階において、シンプルですが便利なフレームでした。

  • Who (誰が)
    まず、「誰にとっての成功なのか?」を定義します。特に私たちのようなプラットフォーム事業では、関わるプレイヤーが複数存在します。例えば、「ワーカー」と「事業者」です。
  • What (何を)
    次に、この新しい事業が「具体的に何を価値として提供するのか」を、それぞれのプレイヤーの目線で定義します。
  • Why (なぜ)
    そして、それぞれのプレイヤーが「なぜ、提供された価値に関心を持って、関わりうるか?」という動機を深掘りします。提供者が抱える「不安定さへの不満」や、利用者が感じる「既存サービスへのコストや品質面の課題」など。

一つの問いを様々な視点から分解していくことで、漠然としていたテーマの輪郭が見えてきます。チーム全員の目線を合わせ、分析のブレをなくすための最も重要な土台作りと考えています。



2. 「5W1H」から「Flywheel」への落とし込み

5W1Hで事業の構成要素を洗い出したら、次に行うのがFlywheel (はずみ車)への落とし込みです。

Flywheelとは、事業を「一度回れば自律的に成長していくサイクル」として捉えるための思考ツールです。「何がどう作用して、次のどんな結果に繋がるのか?」 という一連の因果関係のループとして可視化することで、事業成長のエンジンがどこにあるのかを特定しやすくなります。

私たちのようなプラットフォーム事業を例に考えてみます。

1. まず、事業の成長を促すためのアクションがあります。例えば、マーケティング施策や営業活動によって、ワーカーの集客を強化したとします。
2. プラットフォーム上のワーカーが増えると、人材を探している事業者にとっての魅力が増し、「ここなら良い人が見つかりそうだ」と事業者の利用が増加します。
3. 事業者の利用が増えれば、仕事の募集件数も増えます。
4. 仕事が増えることで、ワーカーはより多くの就業機会を得ることができ、満足度が高まります。
5. 満足したワーカーがリピートすると、事業者の満足度にも繋がります。満足した事業者は継続的に利用し、さらに多くの仕事を募集してくれます。



このように、「ワーカーの増加 → 事業者の増加 → 仕事の増加 → ワーカーの満足度向上 → 事業者の満足度向上 → さらなるワーカーと事業者の増加...」 というように、片方の満足がもう片方の満足を呼び、雪だるま式に事業が成長していく好循環が生まれます。

この図を描いて共通認識を得ることで、「このサイクルのどこにエネルギーを注げば、最も効率的に全体を加速させられるのか?」 という、事業戦略の勘所が見えてきます。

3. 「Flywheel」から「定義」の再整理へ

最後のステップは、Flywheelで事業全体のサイクルを俯瞰しながら、もう一度最初の問いに立ち返る、「定義の再整理」です。

5W1Hで各要素を分解し(点の理解)、Flywheelでそれらの因果関係を繋ぎ合わせる(線の理解) ことで、事業を一つの動的なシステムとして捉えられるようになります。この視点を持つと、当初ぼんやりと設定していた言葉の定義が、より解像度の高い、具体的なものに変化していることに気づきます。

特に、求められている「成功」が「Flywheelのどの部分を、どのように回すことなのか?」という問いに変わります。

  • 「短期的な売上」を成功とすれば、新規獲得やマッチング率といった回転数を上げるための分析に集中します。
  • 一方、「長期的な成長」が成功であれば、リピート率や評価といった質を高め、遠心力を強めるための分析に注力します。

このように、抽象的な言葉が、具体的な指標やアクションと結びつきやすくなります。
このステップを行うことで、分析が向かうべきゴールが明確になり、その精度が高まると思います。

今後の展望:思考プロセスをAIを用いてスケールさせる

今後は、本プロジェクトで得られた知見を基に、AIとの対話を通じて同様のワークが誰でも実現できる仕組みを作りたいと考えています(例えば以下のようなものを想定しています)。

1. 分析したい「問い」をAIに入力する


2. AIが対話形式で分析テーマをサポートする


3. 仮説を選択・編集する


4. 最終的な分析プランが提案される


私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。データから価値を生み出すために、これからもアナリスト自身の「考える力」を磨き続けていきたいと思います。

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