今回は、タイミーの「Kaigi Pass」制度を利用して、12/4に開催のされたプロダクトマネージャーカンファレンス(以下、pmconf)に参加してきました。
この制度を通じて、非常に有意義な学びを得ることができましたので、その内容を共有します。
参加セッション
「メルカリのデータ分析AIエージェント『Socrates(ソクラテス)』と、それを支えるデータ整備」
登壇者:株式会社メルカリ データアナリティクスチーム
セッション詳細・学び
1. 背景と課題 (As-is)
メルカリでは専任のデータアナリストのリソースが潤沢ではなく、アナリストがいないチーム(0名のチームも存在)では、PdMが自らが分析を行う必要がありました。
- 部門を超えたインサイト収集の困難さ: 自分の担当外の領域(例:メルカリ担当がメルペイのデータを見る等)は分析のハードルが高く、工数を要するため、複合的な意思決定が困難でした。
- リソースの壁: 「分析キャパシティ」がボトルネックとなり、問いの量と質が制限されていました。
2. 解決策:AIエージェント「Socrates」 (To-be)
自然言語で対話可能な分析エージェントを導入することで、以下の状態を実現しています。
- 未知の領域にも対応: 「メルペイの預金残高の使い道内訳」のような、ドメイン知識がない領域でも、エージェントがデータを探し出して集計・可視化してくれます。
- 並列思考: 複数の観点(Parallel Agent)でブレストを行い、仮説出しから検証までを一気通貫で実行します。
- 問いの量と質の向上: リソース制約を気にせず貪欲に調べられるようになりることで、アウトプットの総量もが直結して向上します。
3. 実現のための土台:Basic Tables
AIが正しくデータを扱える理由として、「AI-Readableなデータ分析基盤」の存在が強調されました。
- 3層構造: Raw Data Tables → Basic Tables → Analytical Tables/Views という構造を採用。
- 特徴: 「Basic Tables」は人間とAIの両方が分析しやすいように整理された中間テーブルであり、ここに粘り強く投資したことが勝因です。
4. 組織と運用の工夫
ツールを入れるだけでなく、それを使いこなすための組織づく作りもセットで行われています。
- 独立した実行組織: 企画・開発・マーケまで完結できる遊軍的な「BI Productチーム」が開発を主導。
- 使いこなしのルール:
- 気になったらまずエージェントに聞く(依頼する前に相談)。
- 基礎的なSQLと社内DBの理解を持ち、クエリレビューを徹底して品質を担保する。
- 人を動かすための活用: レポートを蓄積するだけでなく、「隙あらば分析レポートをシュッ」と提示し、ファクトをベースに組織全体を動かす文化をつく作っています。
5. 要件定義プロセスへの応用
分析だけでなく、要件定義のプロセス全体(インプット→処理→アウトプット)でにおいても活用されています。
- インプット: ユーザーログ、定性調査、競合調査など。
アウトプット: ユーザーストーリー、機能仕様書、ABテスト設計書など。
これらをAIが処理することで、PdMの業務効率を飛躍的に高めています。
現場視点での気づきと、これからのアクション
今回のセッションを聞いて私たちが何を感じ、現在進めているプロジェクトをどう加速させていくのか。チームとしての「熱量」と「次の一手」をまとめました。
私たちが得た「確信」と「気づき」
■ 「領域横断」こそが、Growthの壁を壊す スライドに映し出された「部門を超えたインサイト収集が困難」という悩みは、正直なところ「これ、今の私たちのことだ」と痛感しました。 特にGrowth領域でスピード感を持って仮説検証を回そうとすると、どうしても担当外のデータやドメイン知識の壁にぶつかります。もし「Socrates」のように社内の全データが地続きになり、AIがその文脈までを理解してくれれば、SQLを書く時間を「ユーザーに向き合って思考する時間」に変えられまする。そうしたの未来図に、強い可能性を感じました。
■ 誰もが「迷子」にならずに意思決定できる組織へ 「意思決定の階層を減らす」という思想も、組織が急拡大している今の私たちにとって非常に重要なテーマです。 新しくジョインしたメンバーが、複雑なテーブル定義の森で迷子にならず、AIという「相棒」を通じて過去の経緯やデータに即座にアクセスできる。それが実現できれば、オンボーディングのスピードも、自走力も劇的に変わるはずです。
■ 定性データも「資産」として使い倒す 数字(定量データ)だけでなく、商談メモや行動ログといった「定性情報」までAIに読ませるという構想にはワクワクしました。 「数字には表れないけれど、現場には落ちているヒント」をAIが拾い上げてくれれば、私たちが生み出す仮説の精度はもっと高まるはず。これを支えるための「徹底したデータ文化」や「BI Productチーム」という体制づくりも含めて、本気で真似していきたいポイントです。
これからやること(Next Actions)
■ 進行中のPoCを、さらに磨き込む 実は現在、私たちも社内で同様のデータ基盤構築に向けた取り組みを、PoC(概念実証)としてすでに始めていますスタートさせています。 「方向性は間違っていなかった」という心強さを感じると同時に、今回のセッションは、そのPoCを成功させるための大きなヒントになりました。
具体的には、以下の動きをすぐに始めます。
- 「Basic Tables」の思想を、自分たちのPoCへ
- 今回の大きな学びである「Basic Tables(AIと人間、両方が読みやすい中間層)」の構造 を、現在私たちが進めているPoCの設計と照らし合わせてみます。
- DRE (Data Reliability Engineering) チームとも連携し、「今の設計でAIが本当にデータを正しく読めるのか?」という視点でからギャップを洗い出し、PoCの設計図をブラッシュアップします。
- スモールスタートで「対話」を始める
- 基盤整備と並行して、まずは特定のデータセットに絞った形でも「対話型インターフェース」を試せないか検討します。来週さっそくチームで集まり、具体的なロードマップを引く予定です。
メルカリさんの事例を刺激に、私たちも「未来のデータ分析体験」の実装を一気に進めていきます。
関連資料
▼ 参照リンク(セッション内で言及・関連情報)