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タイミー開発者ブログ

LeSS' Yoaké(レスの夜明け) Asia 2024に参加して感じたことをトークしてみました!

こんにちは。今回はLeSS' Yoaké(レスの夜明け) Asia 2024 というカンファレンスに参加したメンバーの内、3名で記憶に残ったセッションやトークについてざっくばらんに会話をしてみたので、その内容を一部編集したうえでブログにまとめさせていただきます。

登場人物の紹介

  • raz
    • プロダクトエンジニア。昨年まではスクラムマスターをしていました。
  • maho
    • バイブスキング。昨年からスクラムマスターをはじめました。
  • shihorin
    • スクラムマスター。2024年5月タイミーにジョイン。

印象に残ったセッションやトークはなんですか?

Last Day午前中のOST(オープン・スペース・テクノロジー)の様子。

shihorinが参加したテーブルでは「偉くないけど組織を変えたい」というテーマでディスカッションしていました。現場から組織へアプローチするにはどうすればいいのか、どんな課題がありそうなのかを話してみたかったので、このテーブルに参加。実績や感謝を積み重ねていった先で、上層部からの信頼を得て話せる機会を作っていくことが大事そう、といった内容でディスカッションをしていました。


shihorin:OSTの「偉くないけど組織を変えたい」というテーマが印象に残っています。現場は忍耐が必要だ、コツコツやろうと思っていても、それを組織の上層部と握れていないと結局覆されてしまうことがあるという話を中心にしていました。上層部が求めているのは、一般的に見えやすい数字であることが多く、実際にうまくいっているのかどうかは現場に近づかないとわかりません。だから、数字に表れるような成果をほしがってしまう一方、現場としては「数字だけじゃないんだよ」という声があって難しいという会話がありましたね。

raz:なるほどね。そのテーマ、確かにOSTでありましたね。Slackで見た記憶があります。偉いほうがやりやすいのはそうですけど、それは「トップダウンでやれ」と言っているのと同じです。深く考えずに言いますけど、アジャイルとかそういう最近の考え方で言うと、ズレている感じはしますね。

maho:場合によっては、トップダウンがあってもいいとは思うんですけどね。

raz:両方大事ですよね。

maho:うんうん。ただ、トップダウンだけだとコミットメントするのが難しいときはある気がしますね。

raz:すべての人が納得しないとうまく進められないから、推進する人が偉いかどうかはあんまり大事じゃないのかなって。もし推進する人が偉い人と会話も不可能みたいな立場だと、相当根気が必要かなとは感じます。

maho:推進する人が持っていたほうがいいもので言うと、逆に何があるといいんですかね。私は一つ、バイブスはあるのかなと思っています。

raz:おお、最近のホットトピックね。

maho:人に感情とかコミットメントする気持ちみたいなものを伝えていくうえでは、やっぱりバイブスの力って強いんですよね。その場にいるからこそ共有できるものだと思っているので、もちろんバイブスがすべてを解決するとは思っていないんですけど、大きな影響力があると感じます。推進する人にバイブスを作り出して伝えていく力があると、広がりやすく共感も得られやすいのかなと。そこからコミットメントが生まれやすい感覚を持っています。

raz:mahoさんにはぜひ、バイブスをテーマにしたブログを書いてもらって。

maho:BasのセッションでもLeSSの導入の話があったじゃないですか。あのときに同一拠点でチームメンバーが可能な限り直接会える環境にできたほうがいいって言っていたと思うんですよ。直接会えるほうがバイブスは伝わりやすいので、その場にいるっていうことが強く影響する。仕組みでそれを起こしやすくするのはオフラインなのかもなと思いました。

shihorin:確かに、オンライン上の切り取られた情報だけだとバイブスが伝わりづらいのかもしれないですね。

maho:不可能ではないとは思うんですけどね。オンライン上でもバイブスってあると思うんですけど、なかなか作り出すのが難しい。少なくとも情報は限られてしまうので、ライブ感はその場にいるほうが強いのかなと思います。

shihorin:今の推進する人の話を聞いて、私とmahoさんが座っていたテーブルにいたLINEヤフーの方たちとの会話を思い出しました。LINEヤフーではLeSSのチームの中にスクラムマスターはいない代わりに、スクラムを推進するチームがあるそうなんです。推進チームでは、開発者やPMの中から有志でスクラムを推進したい人たちを集めて、スクラムマスターの役割を共同でやっている。話をした方たちは、まずスクラムを一緒に盛り上げてくれそうな素直な人をその推進チームに引っ張ってきて、挑戦してもらっていると言っていました。最初から自分で手を上げて推進していきたいと言えると一番いいとは思うけど、いい意味で巻き込まれてみるというのも選択肢としてあるのかもしれないなと感じました。誘ってくれたので乗っかってみるみたいな。それもバイブスなのかもしれないですね。

raz:そうですね。やっぱりオンラインだと他のチームの様子がわからないじゃないですか。巻き込まれたいなとか、あっちに行きたいなっていう気持ちをあまり持てない感じはあります。

maho:そもそもわからなかったら、そういう気持ちにもなれないですよね。

raz:そういうムーブメントを起こすのがオンラインだと難しそう。オンラインだと空間的な距離が遠くて見えないから。自分から見ようとしなければ見えないので、推進をするのが難しいんだろうなと思いますね。

maho:オンラインだと「ちょっと向こうで何かやっているな」「気になるな」とかもないですもんね。

raz:たとえば、チームのSlackチャンネルを全部見て追っているとか、そこまでしている人は一定知っているかもしれない。でも、今のタイミーの規模感だと、全部見るのは逆に情報量が多すぎてノイズになるから、チャンネルを抜けている人もいると思います。僕も抜けちゃってますけど……。結果、全部の情報が遮断されるから「別のチームが何をやっているのかよくわからない」みたいな人が増えるような気がします。

maho:今のrazさんの話を聞いて思ったんですけど、オンラインだとそういうのも“情報”になりがちかなって。LeSSの夜明け初日のグループワークで、五感で学ぶ話があって、五感が使われにくいのはオンラインの弱点かもと思いましたね。他のチームが何をやっているのかは、Slackだと単に文字情報になりがちですけど、同じオフィスで隣合って仕事をしていたら会話が聞こえてきて、楽しそうな様子を感じるとかがありますよね。より五感が使われやすい。その辺は人の心を動かしやすいという意味で、やっぱり違いなのかもしれないなと思います。


続いては、初日のCraig Larman氏によるKeynote「AI & HR: Evolving Organizations in an AI World」から、AIとの向き合い方について考えさせられたことを話し合いました。


raz:僕は最初のKeynoteの「AIエージェントを使って生産性が爆上がりしていった結果エンジニアの形が変わる」という話が印象に残っていて、価値観を変えるタイミングの一つなのかなと思いました。今後は元気にデジタルデバイスを扱える人からすると「AIを使いこなせない」ことを驚かれる時代になっていくんだろうなと。きちんと「価値観のアップデートをしていかないとね」と伝えていく必要があるのではと思います。

あと、XでEbackyさんが「LeSSだから大規模で」という考え方じゃなくて、その時代や状況に合わせてちゃんと変化していくことが大事なんじゃないかなと話されていたのに共感しました。僕らはアジャイルな人間である限り、価値観のアップデートを常にしていかないといけないよなと思いました。AIで生産性が十倍百倍千倍と上がっていくのはすごいけどね。個人的には、そうなった結果として、自分たちの価値観のアップデートが必要になる時代が来ると考えています。ただのツールじゃなくて、考え方や価値観が変わるものなんじゃないかな。使いこなすことが前提みたいな感じですかね。

shihorin:そのセッションの最後で、“ヒューマンスキル”は人間だけが持っているものじゃなく、AIのスキルでもあるという話がされていました。たとえば心理カウンセリングは、人間にカウンセリングされるよりも、AIにカウンセリングされるほうを好んでいる人が多いというデータがあるそうで。ヒューマンスキルではなくなっているというのが衝撃的だったかも。

raz:バイブスはね、ヒューマンスキルですよ。きっと。

maho:AIでもできるようになるかもしれないけど、バイブスはそうであってほしいですよね。価値観のアップデートの話はとても納得したんですけど、その時代に適応して価値観をアップデートしていくうえでは、やっぱり見たいものしか見ないという姿勢はダメなんだろうなという気持ちになりましたね。別に自分に都合のいいものだけ見えているわけではないと思うけど、見たいものしか見ずに固執してしまうと、自分の頭の中で見えていると思っている世界と、現実の世界にギャップが生まれることになる。適応しているつもりでも適応できていないみたいなことが起きていくのかもなと。オープンマインドでいきたいですね。

raz:AIによって人間の仕事がなくなるとかは、どうなるかわからないですからね。なくなると言われている仕事もなんだかんだ残り続けているじゃないですか。逃げ切りマインドで「自分はこのメンタルで最後まで生き抜いて死ぬんだ」というのも考え方の一つとしてはありだと思いますね。たとえば、一生ガラケーを使っている人が悪いわけではない。変えないのが悪いわけではないですけど、選択肢が狭まる可能性はあると思いますね。

maho:確かに。選択肢が狭まっていないかどうかは気にしたい。

raz:「ガラケーでも孫とLINEできないけどいいか」となるのも適応の一つだとは思うんですけどね。

shihorin:LINEができないという悩みを解決したいから「スマートフォンに変えよう」となるのは、内発的動機づけで変えようとしているんですよね。携帯会社から「ガラケーのサービスが終わるので変えてください」と言われても内発的動機づけじゃない。

raz:サービスが終わるなんて知らんってなるんですよね。

maho:使い続けられるなら変えないという選択肢もありますもんね。

raz:そもそも新しい携帯を使いこなす気がないならね。買ってみた結果いいじゃんってなる可能性も、もちろんありますけどね。

脱線しましたが、LeSSだから大規模じゃなきゃいけないみたいなのも違くて、固まった考え方から脱することが大事かなとは思いましたね。

maho:確かに、枠を広げるっていう意味ですよね。

参加して気づいたことや学んだことはなんですか?

maho:全体を通じて思ったことはコツコツやることの大切さです。意外と他の参加者が悩んでいることも、そのコツコツができていないからの悩みなのかなと。一撃でどうにかしようとして、うまくできなくて悩んでいそう。セッションとかを聞いても、成功している人の例は地道にやるべきことを積み上げているパターンな気がするんですよね。それが結局一番の近道なんだろうなと思いました。

shihorin:それだけ長く育んでいたのに壊されちゃったという話もありました。プロフェッショナルな人でもそれぐらいの年数がかかるのだと印象に残りましたね。自分は半年スクラムマスターをしてるけど「うまくいかん」と言っているのは、おこがましいのかもしれません。

maho:時間的な遅れがあるフィードバックもありますからね。やってすぐフィードバックを得られるものでもないけれど、人ってすぐに結果を求めがちじゃないですか。

shihorin:そう、ほしくなっちゃう。

raz:でも、そこに根気強く付き合ってくれる会社というのもなかなか難しいんじゃないかな。

maho:結果を出す、実績みたいなのは大事そう。

raz:プロダクトがちゃんと作られていれば、一定大丈夫だとは思うんですけどね。物ができていれば続けられるとは思う。

shihorin:私はスクラムのカンファレンスに初めて参加して、その場だけの学びじゃなく、今こうして話しているように、後で会話をしたときに気づく学びもあるので、学びは点じゃなくて線なんだなって気づきました。

raz:大事ですよね。アフタートークじゃないですけど、セッションについて話して理解を深めること。まず、話すだけでもアウトプットになって理解を深めることになりますし、他の人からフィードバックをもらえる。自分はこう考えたなどの話をシェアしてもらえれば、より学びが強化されますからね。そういうのがオフラインカンファレンスのいいところ。オンラインでも、ちゃんと設計すればできるんでしょうけど。オフラインカンファレンスに参加してよかったですか?

shihorin:そうですね、私は参加してよかったなという気持ちになりました。

読者に伝えたいこと

shihorin:参加してみたらええやん。受け身で教えてもらうんじゃなくて、誰かと喋ったり、OSTなどのコンテンツに積極的に参加したりするのが大事!新米スクラムマスターの方にもおすすめです。

maho:参加して何を感じたか、学んだかを話して整理する。具体的なアクションをする。続けていくことが大事だと思います。アクションに対するフィードバックを得て自分のふるまいを改善していくことが、アジャイルやスクラム、LeSSに向き合っていくことかなと。継続した活動をサボることなく、甘えずにやっていきたいです。一人では対話できないし、継続もなかなか難しいので一緒にやっていくことが大切だと思います。「私がバイブスキングだ」という気持ちでバイブスを大事にしていきたいです。

raz:セッション全部を通して、オーガナイザーはこれが正解だよという言い方はしていませんでした。自分たちで対話して考えることが多かった、変わったカンファレンスだったので、人によっては「全然何も教えてくれない」と思うかもしれません。でも、それがかえって現実的というか……。実際に人の成功体験から学べることはあまり多くないし、失敗やうまくいっていないこと、今目の前で起こっていることに向き合っている時間が物事を進めていくうえでは大事です。レスの夜明けは、そこに焦点を当てたいいイベントだと思います。あのカンファレンスを受け入れられない人は、LeSSの導入が難しいかもしれないので、価値観、考え方をアップデートしていかなきゃと気づいてもらえるといいのかも。こういうイベントは、つい受け身になりがちですが、臆せず参加してみて友だちを作ったらいいと思います。


今回3名でアフタートークをして得られた学び・気づきを、今後の仕事で生かしていきたいです!