こんにちは、shihorinとmahoです。
先日、Women in Agile Tokyo 2025というカンファレンスに参加してきました!
参加した感想や気づきを対談形式でお届けします。
登場人物の紹介
- shihorin
- 2024年5月タイミーにジョインして専任スクラムマスターになりました。
- maho
- HRから社内転職でスクラムマスターになりました。スクラムマスター歴2年目に突入。
参加して思ったこと
shihorin: mahoさん、Women in Agileお疲れ様でした!参加してみてどうでしたか?私は、RSGTでWomen in Agileの運営に携わっている方々の座談会を聞いて興味を持ったのが参加のきっかけだったんです。
maho: shihorinさんもお疲れ様でした!私は、去年メンターの方から勧めてもらいつつ参加できなかったので、今年は行ってみようというのがきっかけでした。もともと多様性に関心が強いほうではあったんですけど、最近は「多様性=女性」と括られることに違和感があって…。
shihorin: わかります。「Women」というワードがついているので、女性限定のカンファレンスなのかな、と最初は勘違いしていました。
maho: そうそう。多様性への違和感については「多様性を活かすチームの作り方」というセッションを聴いて、腑に落ちたことがあるんです。
shihorin: どんなことですか?
maho: 目に見える違い(visible differences)だけじゃなく、性格や経験、価値観など目に見えない違い(invisible differences)も多様性に含まれるというお話があって。特にIT業界は女性が少ないという特徴もあって、多様性を考えるときに、自分の中でも目に見える違い、特にジェンダーが先行しすぎていたな、と。
shihorin: なるほど。
maho: 違和感の正体は、invisible differencesを考慮せずに、visible differencesが必要以上に強調された枠組みの中に入れられる(女性〇〇みたいな)ところにあったのかもしれないと思います。
shihorin: 確かに。visible differencesのほうが、多様性と聞いたときに先に想起されやすそうだし、invisible differencesは考慮から抜けがちなのかもしれない。
maho: もちろんどちらのdifferencesも大事ではありますが、visible differencesだけを多様性のように捉えると表面的なアプローチになりがちで、歪みが生じやすい気がしますね。あと、セッションでは本質的に多様性のあるチームや組織は成果を出しやすいという研究結果も紹介されていました。多様性のあるチームは、事実をより重視し、より慎重に処理し、より革新的であるというのです。
shihorin: へー!
maho: つまり、対話ができ、お互いに異なる意見を尊重できる環境においては、ユニークなアイデアが生まれやすいのだと思います。スクラムマスターとしては、チームや組織においてそういった場作りをしていくことが重要であると改めて認識しました。
shihorin: Women in Agile 自体は、参加してみて安心感がありましたね。「あらゆる多様性を尊重できる安全で健全な職場作りを自分たちの手で作るため」に開催されているだけあって、お互いを尊重し合おうというマインドが会場全体に溢れているなと感じました。
maho: 確かに。Women in Agile って、良い意味で意図的に敷居を低くして、誰に対してもウェルカムな雰囲気があると思いました。
shihorin: うんうん。個人的には、RSGT や他のイベントで知り合った人たちが増えてきて、知らない人に囲まれている感覚が薄かったのも安心感につながっていました。
maho: 知り合いがいると心強いですよね。
shihorin: そうなんですよね。それに、これまで自分が参加した Agile 関連のイベントと比較して、女性の参加比率がとても高かったので、自分に近そうな属性の人のほうが話しかけやすい・話しかけられたときの緊張感が少ないと体感しました。一方で、それって多様性を否定しているんじゃないか?ともどかしい気持ちもありました。
maho: 属性が似ていると居心地が良い反面、気をつけないと排他的になってしまうこともありますね。でも、そうやって色々考えること自体が、多様性を受け入れるうえで大切なプロセスなのかも。
shihorin: そうですね。Women in Agile に参加して、改めて多様性について深く考えることができました。
印象に残ったセッション
maho: 今回のカンファレンスで、特に印象に残ったセッションは「アジャイルのない地域でアジャイルを根付かせる〜三島物語〜」でした。
shihorin: ああ、あのセッションですね!
maho: このセッションでは、他者を巻き込んで文化を生み出していった実体験についてのお話がありましたよね。
shihorin: まさに体当たりでアジャイルを広めていくお話、面白かったです。
maho: 自分が良いと思っているものをそのまま伝えても、なかなか相手に伝わらない。他者を巻き込んで文化を生み出していく、良いと思ってもらうだけでなく実際に行動に移してもらう。これはとても難しいことですが、相手の文化に寄り添い、その世界観に合った伝え方をすることが、興味関心を持ってもらうための第一歩だと感じました。
shihorin: 押し付けではなく、相手に寄り添うことが大事ですね。
maho: そうなんです。とても基本的なことではあるんですけど。あとは、何かアクションを起こすときには一緒に楽しむ気持ちも、文化を根付かせていくうえでは無視できない要素な気がします。
shihorin: 私は「Art of Hostingから学ぶ 〜askとofferで現れる自分自身も尊重される運営〜」が印象に残りました。このセッションを聞いて、Art of Hostingという概念を初めて知りました。
maho: 私もです。
shihorin: 自分の心の内側が整っていないと、話し合いの中に不要な複雑さ・煩雑さを持ち込んでしまう、あることないこと言ってしまう、という話に共感しました。
maho: 焦って余計なことを言ってしまうことはよくある気がします。
shihorin: そうなんです。対話の中で本当はモヤモヤしているのに言葉に落とし込めなくて、モヤモヤを飲み込んだまま相手の話に同意してしまう、といった経験はたまにありますね。「まず自分自身をホストしよう」という話の中で、自分の気持ちに気づく、大切にするというワードが出てきましたが、具体的にどういうことなのかもっと詳しく聞いてみたいと思いました。
shihorin: Closing Keynote も印象的でしたね。
maho: WAKE Career を運営している bgrass 株式会社の代表、だむはさんの話、良かったですよね。
shihorin: 地道に一歩ずつ模索しながら、時には失敗も経験しながらリーダーになっていった話を聞いて、共感できました。若くして起業したカリスマ、自分とは遠い存在のスーパーマンみたいなイメージを勝手に持っていたので、自分が共感できたことに驚きました。
maho: だむはさんが乗り越えてきた壁についてのエピソードを聞いてみたら、すごく人間味があって、親近感が湧きました。今までのマッチョなリーダー像に必ずしも寄せていく必要性はない。それに代わる新しいリーダー像をそれぞれが作っていってもいいのではないかという視点には、とても考えさせられるものがありました。
shihorin: そうですよね。誰かが言っている・作ったリーダー像が絶対的な正というわけではなく、自分なりのリーダー像を目指したいと私も思いました。
maho: 私も同じ気持ちです!
shihorin: もう一つ良いなと思ったポイントがあります。ジェンダーギャップを解消したい、という軸が最初から一貫してぶれていなかったことに加えて、自分の中だけでなく周囲に伝わっていたことです。やっぱり熱量を持って伝えることって大事ですね。
maho: Closing Keynoteのお話からも熱量の高さを感じました。
shihorin: 頑張っている人をみて自分も頑張ろうって思えるのが、カンファレンスにいく一つの目的だなと特に思いました。今までも「カンファレンスに参加すると登壇者や他の参加者から熱量を受け取れるよ」といった話を周囲から聞いてきましたが、徐々にわかり始めた気がしました。
OSTに参加した感想
maho: OST はどうでした?
shihorin: 1回目は「対話の練習場」がテーマのテーブルに参加しました。「Art of Hostingから学ぶ 〜askとofferで現れる自分自身も尊重される運営〜」で登壇されたガオリュウさんがこのテーマを挙げられていて、対話の練習をしたいなと純粋に考えたためです。
maho: 私も同じテーマに参加しました!
対話や関係性について持論を話した際に、自分が思っていた以上に共感や、気づきにつながりましたというリアクションをもらえたのが嬉しかったです。
shihorin: 反応があると嬉しいですよね。
maho: また、この OST が終わった後にも、常に向き合っているからこそ言語化できているとお話いただいて、自分の意見や考えに対して色々なフィードバックがあるという機会が、これまでの私にとっては多くなかったので、とても刺激になりました。
shihorin: OST が終わった後もフィードバックがあったんですね!
maho: shihorinさんはどうでした?
shihorin: 私は「誰かの経験談を聞くのって結局n=1の話だし、直接的に参考にはならないんじゃないか」と今まで悩んでいましたが、経験談を抽象化することで「あるあるだよね」「自分も昔似たような経験をした」というように共通点が見つかって、n=2、n=3……になっていく。その中から、自分の仕事に活かせる気づきやヒントを得られそうだと今回の OST で感じました。抽象化って大事なんだなという気持ちになりました。
最後に
maho: 今回のカンファレンスに参加して、誰かの話から新しい発見を求める純粋なゲスト感覚でいるだけではなく、自分の経験や考えを発信してフィードバックをもらい、またあわよくば少しでもコミュニティにインスピレーションを与えられるようチャレンジをしていくフェーズに移っていくべきかもと思えたのは良かったです。
shihorin: いいですね! 確かに、今まで誰かの話を聞いて「勉強になったな」で終わることが多かったかもしれない。
maho: そうなんですよね。せっかく貴重な経験をしてきたのに、それを発信しないのはもったいないなと思って。
shihorin: 自分の経験や考えを発信することで、誰かの役に立つかもしれないし、コミュニティ全体の活性化にもつながりますもんね。
maho: だから、これからはもっと積極的に発信していきたいと思っています。
shihorin: 私も自分の経験や考えの発信にチャレンジしてみたいです。まずは OST の参加テーマ選びのときに「このテーマなら自分の経験や考えが他の参加者の役に立ちそう」という観点を持ってみようと思いました。
maho: 良さそう! ぜひ、試してみてください。
shihorin: 今までは「このテーマ私も相談したい、私も悩んでいる」という観点でテーマを選んでいたので、発信するという観点がありませんでした。
maho: どうしても自分の悩みを相談したいって気持ちが優先されがちですよね。
shihorin: ですね。これからは発信する側にもなってみたいです。