こちらはTimee Advent Calendar 2023シリーズ1の19日目の記事です。
はじめに
こんにちは、タイミーでAndroidエンジニアをしているsyam(@arus4869)です。 この記事では、タイミーで実際に利用しているBitriseとFirebase App Distributionを用いたAndroidアプリの配布方法を実例を交えながら紹介していこうと思います。 この記事を通じて、同じようなツールを利用している他の開発者の皆さんにとって、参考になる情報を提供できればと思います。
BitriseとFirebase App Distributionについて
Bitriseは、モバイルアプリのCI/CDプロセスを自動化するプラットフォームです。ビルドからデプロイまでを簡単に管理でき、開発サイクルを効率化します。
Firebase App Distributionは、アプリのベータ版やテスト版をテスターに迅速に配布するためのツールです。新しいビルドをテスターに届け、フィードバック収集が可能です。
これらのツールを組み合わせることで、アプリ開発の流れをスムーズにしてくれます。
事前準備
BitriseとFirebase App Distributionを使用する前に、いくつかの事前準備が必要です。
まず、BitriseとFirebase、そしてGoogle Cloud Platform(GCP)のアカウントを準備します。
それぞれのツールを利用するには適切なアクセス権と設定が必要です。事前に準備しましょう。
詳細なアカウント作成方法については、それぞれの公式を参照してください。
参照URL
次は具体的な手順へ進めていきます。
手順1: Firebase App Distributionのグループとテスターの設定
Firebase App Distributionを使用してアプリを効率的に配布するためには、適切なグループとテスターの設定が必要です。 以下のステップに従って設定を行いましょう。
Firebaseプロジェクトにアクセス
Firebaseコンソールにログインし、対象のプロジェクトを選択します。
テスターグループの作成
「App Distribution」セクションに移動し、「テスターとグループ」タブを選択します。 「新しいグループを作成」をクリックし、グループ名(例:product_team)を入力します。
テスターの追加
新しいグループを選択し、「テスターを追加」をクリックします。 テスターのメールアドレスを入力し、グループに追加します。 テスターは開発用と本番用のアプリに分けてグループ化すると管理がしやすくなります。 この手順により、特定のテスターグループに対して、アプリのテストビルドを簡単に配布できるようになります。 グループとテスターの設定が完了したら、次にFirebaseの認証用サービスアカウントの作成をしていきます。
手順2: Firebaseの認証用サービスアカウントの作成
Firebase App Distributionでアプリを配布するためには、Firebaseの認証用のサービスアカウントを設定する必要があります。この手順では、その設定方法を説明します。
- Google Cloud Platform(GCP)でサービスアカウントを作成
- 必要なロールを割り当て
- サービスアカウントに以下のロールを割り当てます:
- Firebase 品質管理者
- Firebase App Distribution Admin SDK サービス エージェント
- これらのロールにより、アカウントはFirebase App Distributionでのアプリ配布に必要な権限を持つことになります。
- サービスアカウントに以下のロールを割り当てます:
- 秘密鍵の生成と保存
次は、このサービスアカウントを使用して、Bitriseでのプロジェクト設定を行います。
手順3: Bitriseの設定
次は、BitriseからFirebase App Distributionを通じてアプリを配布するためには、Bitrise上での適切な設定が必要です。以下のステップに従って、Bitriseでの設定を行いましょう。
- Bitriseプロジェクトのセットアップ:
- Bitriseにログインし、新しいプロジェクトを作成または既存のプロジェクトを選択します。
- プロジェクトのビルド設定を確認し、必要に応じて調整します。
- Firebase App Distributionステップの追加:
- プロジェクトのワークフローを編集し、「[BETA] Firebase App Distribution」ステップを追加します。
- このステップにより、ビルドが成功すると自動的にFirebase App Distributionを通じてアプリが配布されます。
- 認証情報の設定:
これらのステップにより、BitriseはFirebase App Distributionと連携し、アプリのビルドと配布を自動化できるようになります。設定が完了すれば、BitriseからFirebase App Distributionを通じてアプリをテスターに配布する準備が整います。 参考程度に「[BETA] Firebase App Distribution」に設定している項目を記載します。
項目 | 説明 | 例 |
---|---|---|
Service Credentials File | Bitriseのアップロードした秘密鍵のパス | $BITRISEIO_development_service_account_key_URL |
App Path | APK及びAABファイルが格納されているパス | $BITRISE_APK_PATH |
Firebase App ID | Firebaseコンソールのプロジェクトの設定から見れるアプリ ID | 1:1234567890:android:0a1b2c3d4e5f67890 |
Release Notes | テスターが見るリリースノート | メインブランチにマージされたビルドです。 |
Test Groups | 手順1で設定したテスターグループ | product_team |
まとめ
この記事では、BitriseとFirebase App Distributionを活用してAndroidアプリを配布するための手順を紹介しました。以下は、ポイントのまとめです。
- 事前準備が鍵:BitriseとFirebase、GCPのアカウント設定から始め、必要なツールと情報を確認することが重要です。
- Firebase App Distributionの設定:適切なテスターグループとテスターの設定を行い、アプリのテスト版を簡単に配布できる環境を作ります。
- Bitriseの自動化設定:ビルドプロセスをBitriseで自動化し、Firebase App Distributionを通じてアプリを配布する設定を行います。
このプロセスを通じて、テストアプリの配布が可能となります。あとはテストアプリをどのように使ってもらえるか、開発者以外のメンバーにもフィードバックをもらえるようにドキュメント化することをお勧めします。本記事が、みなさまの開発に役立つことを願っています。