はじめに
はじめまして、タイミーでモバイルアプリエンジニアをやっている tick-taku です。
5/15 - 5/17 の三日間にわたって沖縄で RubyKaigi 2024 が開催されました。全国から Rubyist が集結するイベントで弊社からもたくさんのメンバーが参加しており、自分も初めて参加してきました。
今回はそんな RubyKaigi に参加して感じたことや気になったポイントを紹介します。
タイミーメンバーの参加レポートはこちら。
みなさん各セッションを解像度深く解説されていてとても勉強になりました。
なぜ参加しようと思ったか
冒頭で自己紹介した通り、僕はモバイルアプリエンジニアで普段は Android や iOS アプリ開発がメインです。
そんな自分がなぜ RubyKaigi に参加しようと思ったか。それはこれから Ruby (rails) の開発ができるようになりたいと考えているからです。
そこで、まずは言語やコミュニティの雰囲気を掴むため Ruby の中で大規模なカンファレンスに参加してみようと思ったのがきっかけでした。
タイミーでは開発組織においてチームトポロジーをベースとしたストリームアラインドチームを運営しています。
その中で僕が所属しているチームはクライアント様に向けた機能開発を目的としており、クライアント様が使う管理画面の改善などが多いです。そのため、稀にワーカー様向けであるモバイルアプリの開発タスクが希薄になることがあります。
逆にバックエンドタスクがまだまだ手が足りていないので、モバイルにクローズせずにケイパビリティを発揮していきたいと考えました。
また僕は専門領域特化型ではないと昔から感じているため、全体を満遍なくできるようになることでゴール達成のためにどこか人が足りていない部分を補う動き方をしていきたいと考えています。
チームの方向性ともマッチしているためバックエンドで採用している Ruby を勉強していこうと思いました。
後は沖縄で開催と言うのもかなり魅力でした。沖縄ですよ、沖縄。こんなに聞くだけで胸躍るキーワードなかなかありません。キラキラドキドキですね。
RubyKaigi は毎回日本各地を転々と開催しており、毎年同じチームの Rubyist がワクワクしていたのを羨ましく感じていました。
参加してみて
「楽しかった」
これに尽きると思います。
コミュニティの交流であったり「こういう事を考えて言語をよりよくアップデートしている」といった事が聞けたり、普段の関わりから遠い話がたくさん自分事として聞けたことがとても楽しかったです。
知識的な話
RubyKaigi に関しては参加理由にも少し言及していますが Ruby に慣れる事を目的として参加しました。
と言うのも、Ruby を使って開発している人たちによる「どういう課題をどう解決したか」と言った話が聞けると Ruby をより身近に感じられ、モチベーションに繋がるかなと思ったからです。 モバイル系のカンファレンスで言うと DroidKaigi や iOSDC みたいなものを想定していました。
ですが、実際に RubyKaigi に参加してみるともっと低レイヤーの、Ruby の中はこう動いているだったりコンパイラの話などばかりでした。正直何言ってるか分からないことだらけでしたが、セッションの端々から Namespace
や RBS
など気になる単語が聞こえてきて知的探求心が刺激されました。
アスキーアートもあまり馴染みがなく新鮮で面白かったです。ゲームを動かしてみたりとスピーカーの Ruby が愛が伝わってきました。
以下に気になったワードを列挙します。
Namespace
今回のセッションの中で一番興味を持ったテーマがこの Namespace
について です。
Java で言う package
(や Kotlin の alias import
)を Ruby でやりたいのかなと思いました。
自分は今まで Ruby (と言わずスクリプト言語全般) の変数がどう参照されているかが分かり辛く、またクラスや変数のコンフリクトが起きやすいのではと思っていました。Google が Ruby のライブラリなんか作ったらそれはもう大変なことに...
モジュラモノリスなアプリケーションにおいてチームの規模が増えるにつれ、こういった話の課題感は飛躍的に上がっていきそうな気がするので重要度は大きいのではないでしょうか。
Refinements
Namespace のセッション内で Refinements
というワードが聞こえたので、Refinements について調べました。
こちらはメソッドに対してある特定のスコープ内の挙動を書き換えるものだとわかりました。Namespace が package に対して Refinements はどちらかと言うと extensions
なのかな?少し違うかも...
Refinements が Namespace に成り代わる(統合される)わけではないと言及されていて、上記の比較が正しければ確かにそもそもの目的・用途が別物ですね。実際に触って理解していきたいと思います。
RBS
自分は Java からスタートしたので馴染みがありますが、動的型付けの Ruby でもタイプセーフのメリットを傍受したい!的な話でしょうか。コンパイルでエラーを吐き出されたりエディタ上で確認できた方がいいのは開発スピードや品質にも関わってくるのでそれはそうだと思います。
Java の記述が冗長になりがちなデメリットを Kotlin が型推論でカバーしていることを考えると自然な流れに見えます。
ただし定義が .rbs
(別ファイル) に定義されることが、必要に応じて定義できるフレキシブルさを持っている反面運用時のネガティブコストにならないかは心配になりました。
TypeProf
そして型推論をやろうとしているのが TypeProf
でしょうか。(Good first issues of TypeProf)
.rbs ファイルを自動生成するから管理を気にしなくてよくなるのかもしれない?
こちらも触って確かめてみようと思います。
Parser
今回の RubyKaigi で最も聞いた単語だと思います。普段プログラムの Parser を意識することはあまりありませんでしたが、実際にどういうアルゴリズムで動いているとかこの言語だとこうだけど Ruby やこのツールはこうなんですよみたいなのが聞けて面白かったです。
調べているとかなり歴史や思想があって興味深いのですが詳細を書くととても長くなってしまいそうなので割愛します。The grand strategy of Ruby Parserを発表されていた kaneko-san のこちらの記事がとても勉強になりました。
コミュニティの話
社内外問わずたくさんの人にはじめましてが出来たことも良い刺激でした。
モバイル界隈に生息しているため社外の Rubyist はもちろんのこと、タイミーではフルリモートを採用しており、自分はまだ入社して半年も経っていないためチームでも現地で初めて顔を合わせる人がたくさんいました。 そういった人たちとパーティやランチで普段何しているかだったり業務では聞けない話をたくさんできて楽しかったです。
RubyKaigi で驚いたと共にいいなと思ったことが、各スポンサーや有志がアフターイベントを企画しそのイベントをオフィシャルが公表していることです。
参加する人が口を揃えて RubyKaigi はお祭りだと言っている意味がわかりました。Official Party はもちろんですが、最終日にも懇親会があることも驚きましたし、各社が企画する DrinkUp やカラオケ大会、果てにはクラブを貸しきる DJ イベントもあり、なんでもありだな...と。 タイミーも初日から二日続けて DrinkUp を開催するという狂気っぷりを発揮しています。
せっかく初参加なのでと時間に都合がつく限り参加してみました。 とは言え、初参加だし専門領域も違うので単身乗り込んで行って大丈夫か...?ちゃんとコミュニケーションできるか...?知らん人に囲まれて歌えるか...?と不安ばかりでした。
ですが実際に飛び込んでみるとそんな不安は杞憂に終わりました。話す人みなさんが歓迎ムードで相手へのリスペクトを感じ、Ruby コミュニティのウェルカムマインドはなんて素晴らしいんだと感動しました。
こちらは2日目の rubykaraoke で午前3時まで完走した猛者たちの様子。面構えが違う…
一人不安に思いながら参加しましたが、楽しみ過ぎて完全に声が出なくなりました😇
#rubykaraoke 完走組🤣おつかれさまでした!
— ヤノ | ROUTE06 (@ynndino88) 2024年5月16日
#rubykaigi #rubykaigi2024 #rubyfriends pic.twitter.com/9tx4AJyJTW
このお祭りみたいな雰囲気と、それをオフィシャルが大々的に謳っていることは社外の人と交流するハードルが一気に下がってとてもよい取り組みだと思います。旅先であることも盛り上がりの燃料となっている気がしますね。
だからこそ Ruby コミュニティはここまで規模が大きくなっているんだと実感できました。
ここまでの規模でこれだけ盛り上がりの大きいカンファレンスは自分が知る限り国内ではあまり見かけないので非常に良い機会提供の場になっていると思いました。(Android のカンファレンスでもこういうのないかなぁ) そりゃ毎年みんな行きたがるし帰ってきてからもわいわいしてるわけだ...
さいごに
まずは関わってくださったみなさまに感謝を。 Ruby を開発してくださっているコミッターの人、RubyKaigi を運営してくださったスタッフの人、雑に話に行って歓迎してくださった人、チームのメンバー、専門領域が違うにもかかわらず参加させてくれた上司・会社などなど、本当にありがとうございます。
タイミーでは KaigiPass と呼ばれる制度があって、レポートを書いたり登壇するなど何かしらのアウトプットでコミュニティに貢献することを前提に、国内外問わずカンファレンス参加の費用を負担してくれる制度があります。 冒頭で紹介した通り僕はモバイルアプリエンジニアで Ruby とはほど遠く、社歴もまだ半年も経っていないのに、それでも参加を認めてくれています。タイミーはなんて素晴らしい組織なんだ。
今後のための教訓として RubyKaigi や Ruby についてある程度事前に調べていくべきだったと反省しています。
上述した通り RubyKaigi の趣旨もそうですが、知らない単語を調べながらセッションを聞いていると途中でついていけなくなったりしました。まぁついていけてもわかってなかったですが...
とは言え Ruby に関しては何から手をつけていいかわからなかったので、ワードからこういうことがあるんだなと調べるためのとっかかりが得られたのはとても大きな一歩だと感じています。
またネックストラップの色によって写真の掲載に承諾するかを意思表示できるようになっています。黄/赤 は 🙆♀️、白/青 は 🙅♂️ です。
ところがアイキャッチの写真をよく見てください。1人だけ青いですね。
そう、僕です。完全に理解していませんでした。自分のイメージカラーだから青にしよ♪くらいの気持ちでいました。 撮り終わった後に教えていただいて慌てて付け替えたんですが、ちゃんと会のレギュレーションをチェックしておけばと後悔しています...お手数おかけしました...
何事も事前準備が大事ですね。
以上、モバイルアプリエンジニアが RubyKaigi に初参加してみた参加レポートでした。 振り返ってみると圧倒的によかったこと・得られたものが多く、今回参加してみて本当に満足しています。
来年は愛媛県松山市ということでぜひ次回も参加したいですね! せっかくだから自転車持っていって帰りはしまなみ海道渡ってから帰ろうかな...