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タイミー開発者ブログ

EMConf JP 2026 参加レポート(taishi、otake)

こんにちは。タイミーでプロダクトエンジニアをしている福島(taishi)と大竹(otake)です。

EMConf JP 2026が3月4日に開催されました。

2026.emconf.jp

タイミーは今年、EMConf JP 2026のスポンサーをさせていただきました。

タイミーには、世界中で開催されているすべての技術カンファレンスに無制限で参加できる「Kaigi Pass」という制度があります。今回はこの制度を使って参加しました。

詳細は以下をご覧ください。

productpr.timee.co.jp

EMConf はエンジニアリングマネージャー(EM)向けのカンファレンスですが、私たちのようなマネジメントをしていないメンバーにとっても学びの多いイベントでした。

本記事では、印象に残ったセッションをいくつかピックアップしてご紹介します。

冒険する組織のつくりかた

著書「冒険する組織のつくりかた」を執筆された、株式会社MIMIGURIの安斎勇樹さんによるセッション。メンバーの興味傾向を把握し、目標と個人の動機を接続する場をデザインするための具体的なアプローチや、思考のフレームワークが紹介されていました。

目標のマネジメント:SMARTからALIVEへ

目標設定において、管理側の論理である「SMART」と、取り組む側の視点である「ALIVE」を両立させることが重要です。

  • SMARTの法則: 業務を精緻に遂行させるための指標(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)
  • ALIVEの法則: メンバーが前向きな意味を感じられる指標
    • Adaptive(適応): 変化に適応し、将来役立つ能力を身につけている安心感
    • Learningful(学習): 学びの機会となる
    • Interesting(興味): 好奇心をそそる
    • Visionary(未来): 未来を見据える
    • Experimental(実験): 実験的な試みである

さらに重要なのは、目標設定の「前」と「後」のプロセスです。目標を単に提示するのではなく、メンバーの内発的動機と目標を「ミート」させることが肝心です。

  • 設定するまで: ヒアリングで意見を踏まえ、参加型デザインで一緒に考える
  • 設定したあと: リーダーがストーリーテリングで意図を語り、ダイアログ(対話)で取り組む意味を共有する

興味のマネジメント:8つの「活動スタイル」

個人の「興味のツボ」を把握することで、目標にALIVEな要素を組み込めます。興味は「ヒト」か「コト」か、そして「どのレンズ(役割)で見るか」の組み合わせで8タイプに分類されます。

興味のレンズ ヒトに興味がある コトに興味がある
創造 新しいコミュニティやカルチャーを生み出したい 新しいプロダクトやビジネスモデルを創出したい
解明 人間の心理や集団の力学を明らかにしたい 現象のデータを分析し法則性を明らかにしたい
介入 人やチームに寄り添い、変化や成長を支援したい 現場の課題に働きかけ、状況を改善・解決したい
運用 秩序や制度を維持し、公平に運営したい 手続きを正しく回し、品質を保ちたい

コメント

これまで「SMARTの法則」に則った目標設定は意識していましたが、それは管理する側の視点でした。そのため、取り組む側のモチベーションの観点が不足しうる、という指摘が興味深かったです。SMARTとALIVE両方の観点を取り入れることで、メンバーが主体性をもって取り組めるようになり、結果的に目標達成の確度が上がります。生成AIの急速な進歩で目まぐるしく変化する世の中だからこそ、モチベーションを高く保ち、腰を据えて取り組める目標設定のアプローチとして、私も心がけてみようと思いました。(taishi)

数年後のキャリアプランを立てることに難しさを感じていましたが、「今この瞬間の興味(好奇心)」を起点にするというアプローチは非常に腹落ちしました。技術トレンドの移り変わりが激しいからこそ、無理に未来を固定するのではなく、自分の「好き」や「気になる」を組織の課題と接続し、適応しながら進んでいけるよう、前向きな気持ちで業務に取り組んでいきたいと感じました。(otake)

「ストレッチゾーンに挑戦し続ける」ことって難しくないですか?

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成長には、現状のスキルで難なくこなせるコンフォートゾーンを抜け出し、適度な負荷がかかるストレッチゾーンに身を置き続けることが不可欠です。しかし、実際には「今の自分に最適な挑戦が不明」「日々の忙しさによる自然消滅」「外部要因による阻害」といった要因で、ストレッチゾーンに居続けることが難しい場合があります。本セッションでは、これらを克服するための環境設計が示されました。

  • 現状分析: Will/Can/Mustのフレームワークに加え、具体的な事象を問い(Why)で抽象化し、新たなアクション(How)に繋げる「具体と抽象の往復」が重要
  • 目標設定: コンフォートゾーンの誘惑を断ち切るための武器として、具体的で測定可能な「SMART」だけでなく、チームで共有・可視化され野心的な「FAST」な目標設定を活用する
  • 仕組み化: マネージャーの支援前提ではなく、権限委譲やシステム思考(因果ループ図など)を用いて、組織として挑戦が推奨される構造を作る

コメント

特に印象的だったのは、スナッキング(簡単で達成感はあるが学びが少ない仕事)の誘惑という概念です。忙しいときほど慣れた仕事に逃げてしまいがちですが、それを防ぐために自らFASTな目標を掲げ、周囲に宣言することで、意識的にストレッチゾーンに身を置く工夫を取り入れたいと感じました。

また、SMARTな目標は達成までの道のりが具体的にイメージできる反面、大きな成長につながる目標が生まれにくい側面もあります。これまでチームで目標を共有しても、協力体制が生まれたり切磋琢磨する状態になったりしにくかったため、その点でもFASTな目標設定を取り入れてみたいと思いました。(otake)

「事業目線」の正体 〜3つのフェーズのCTO経験から見えてきた、EMが持つべき視点

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EMが持つべき「事業目線」を、3つのステップで具体化したセッションです。

  • Lv.1 数字を知る: 自組織に関わる数字(売上、MAU等)を把握し、事業予算の構造を因数分解して、自分のエンジニアリング組織がどこに作用しているかを理解する
  • Lv.2 お客さまと隣接組織を知る: 数字の裏にある「なぜそうなっているか」を知るために、お客さまの声(生の声)を聞き、経理・営業・CSといった他部門の力学(大切にしていること)を理解する
  • Lv.3 戦略に反映する: 得られた知見をエンジニアリング戦略や組織の仕組み(ダッシュボード化や研修等)に落とし込み、「明日」の大きな問題を解決するために「今日」何をすべきかを決める。

コメント

事業目線という言葉の解像度が劇的に上がったセッションでした。特に隣接組織の構造を知ることで、自分の開発が他部署のオペレーションにどう影響するかまで想像を膨らませるという視点は、シニアなエンジニアを目指す上で欠かせないものだと痛感しました。また、何のために開発しているのかを改めて考えてみて、価値を最大化できるように日々の行動を変えてみたいと思いました。まずは自分のチームに関わる数字を言えるようにするという小さな一歩から始めてみます(otake)

技術的負債の泥沼から組織を救う3つの転換点

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著書「アーキテクチャモダナイゼーション 組織とビジネスの未来を設計する」の翻訳を担当された、株式会社スリーシェイクのnwiizoさんによるセッション。技術的負債は「技術」の問題ではなく、組織構造やプロセスの問題が技術的な問題として表出したものだと捉え、モダナイゼーションを推進する手法が紹介されていました。最初に組織に学習する構造を持たせ(転換点1)、次にどこに集中投資するかを意思決定者の言語で語り(転換点2)、最後に不確実性を受け入れつつ小さく始め、学習するサイクルを作る(転換点3)。そのための手法や考え方について詳細に解説いただきました。

転換点1:学ぶ力(組織に学習する構造を持たせる)

組織が自律的にシステムとビジネスの構造を理解し、学び続ける状態を作る段階です。AMET(Architecture Modernization Enabling Team)を触媒として、イベントストーミングやワードリーマッピングなどの手法を活用しつつ、チームが自律的に学習を続けられるようになるまで支援します。

転換点2:語る力(意思決定者の言語で投資判断を促す)

技術的な課題を「コードが汚い」といった技術者の言葉ではなく、経営や事業の成長を阻害する「ビジネスリスク」として翻訳する段階です。Core Domain Chartで自社のドメインを「差別化度」と「複雑性」の2軸で整理した上で、それを事業の選択肢の制約として提示することで、経営層が自分の判断軸で技術投資を評価できる構造を作ることが重要です。

転換点3:始める力(不確実性を受け入れ、小さくサイクルを回す)

成果を出しながら段階的に変革を進める段階です。1つのバリューストリームで小さく始め、3〜6ヶ月以内にモダナイゼーションの第一歩となる成果を出すことを目指します。逆コンウェイ戦略に基づき、理想のアーキテクチャに合わせて組織構造も同時にデザインします。

コメント

モダナイゼーションにおける具体的なステップと実践的な手法が紹介されており、とても良質なセッションでした。変革の推進力を高めるだけでなく、変化を阻む摩擦を取り除く重要性とアプローチについても語られており、現場目線で参考になりました。「モダナイゼーションで最も難しいのは着手すること。2番目に難しいのは勢いを維持すること」という言葉も印象に残りました。チームがいかに強い意志をもって持続可能な変化を続けられるかが最重要だと感じています。著書「アーキテクチャモダナイゼーション 組織とビジネスの未来を設計する」もぜひ読んでみたいです。(taishi)

まとめ

今回のEMConf JP 2026では、エンジニアリング組織における幅広いテーマが取り上げられていました。

メンバーの視点でも、今この瞬間の興味を起点にした成長戦略、ストレッチゾーンに身を置くための仕組みづくり、事業の数字や隣接組織への解像度を上げることなど、自身の成長とチームへの貢献を加速させるヒントが詰まっていました。

EMConfという名前ではありますが、エンジニアリングに関わるすべての人にとって価値のあるイベントだと感じています。

得られた知見を日々の業務に活かして、個人と組織の両方で成長できるように努力したいと思います!